ロケットの夏

ロケットの夏：青春と宇宙への情熱、そして閉ざされた未来

『ロケットの夏』は、2002年にTerraLunarから発売された18禁アドベンチャーゲームです。有人ロケットの開発と打ち上げという壮大なテーマを背景に、思春期の若者たちの葛藤や友情、そして閉ざされた未来への希望を描いた青春群像劇となっています。2005年には、フルボイス化された本編に加え、新規エピソードや楽曲を収録した『月面基地前プレミアムBOX Vol.1 ロケットの夏編』が、月面基地前から発売されました。

物語の舞台：シャットダウン後の地球

物語は、かつて異星連合体との交流があった時代から始まります。戦争を経て異星人との友好関係が築かれ、ロケットは日常的に宇宙を駆け巡る存在でした。しかし、突如として政府は「シャットダウン」と呼ばれる鎖国政策を実施。異星人の強制送還と、民間レベルでの宇宙開発を禁止しました。

主人公の高志は、幼い頃にロケット製作に没頭していた天才少年でした。しかし、ある実験事故をきっかけに宇宙への情熱を失い、日々を惰性で過ごしていました。そんな彼がある日、自作有人ロケット大会「50マイルズオーヴァー」を目指す少女・千星と出会います。

出会い、そして再生の物語

最初は乗り気ではなかった高志ですが、千星や幼なじみの歩、そしてアンドロイド教師のはるひ、さらにはサヴォア星の姫君セレンとその護衛のベルチアといった個性豊かな仲間たちと出会い、次第に失われた情熱を取り戻していきます。彼らは「ロケット部」を結成し、『50マイルズオーヴァー』優勝を目指して、共に有人ロケットの製作に挑むのです。

個性豊かな登場人物たち

プレミアムBOX版では、主要キャラクターにフルボイスが採用されています。

真幌 高志: 本作の主人公。事故とシャットダウンによって宇宙への夢を失っていたが、仲間たちとの出会いを通して再び情熱を取り戻していく。
香奈城 歩: 地球人とダルメイア星人のハーフ。耳の形をコンプレックスに抱えながらも、高志を慕い、ロケット製作に協力する。
夏海 千星: ロケット乗りを夢見る明るく前向きな少女。母親との関係に悩みながらも、ロケット部を引っ張っていく。
セレン・アンジェニュー: サヴォア星の姫君。わがままで高圧的だが、内に秘めた葛藤を抱えている。
ベルチア・ヘリアー: セレンの護衛で、剣の腕前は高いが、命中率に難あり。
はるひ: アンドロイド教師。ロケット部の顧問となり、彼らをサポートする。

他にも、ロケット部OBのチャックや、サヴォア星の宰相ヴァスカー、秘密警察のメイヤーなど、個性豊かなキャラクターが登場し、物語を彩ります。

そして、宇宙への夢

『ロケットの夏』は、単なる青春物語ではありません。シャットダウンという閉塞的な社会状況、人種差別や親子関係といった社会問題、そして宇宙への未練といった様々な要素が複雑に絡み合い、深く考えさせられる作品です。登場人物たちが困難を乗り越え、それぞれの夢に向かって進んでいく姿は、見る者に希望と感動を与えてくれます。

プレミアムBOX版

2005年発売の『月面基地前プレミアムBOX Vol.1 ロケットの夏編』には、フルボイス化された本編「ロケットの夏 〜Full Voice Version〜」に加え、番外編「ロケットの夏 宇宙島へ行く少年」、そして過去作品からの移植作品「ぼくのたいせつなもの 〜Full Voice Version〜」が収録されています。さらに、これら3作品分のBGMをまとめたコンプリートサウンドトラックも同梱されており、より充実した内容となっています。

世界観

ゲームの世界観は緻密に構築されており、1943年の異星連合体とのファーストコンタクトから始まる歴史、地球主義、星殺しウイルス、そしてサヴォア帝国連邦といった設定が物語に深みを与えています。「50マイルズオーヴァー」や「ロケッティア」「シャットダウン」といった独自の用語も、世界観の理解を深める上で重要な要素となっています。

『ロケットの夏』は、青春、友情、宇宙、そして閉ざされた未来への希望を描いた、忘れがたい一作と言えるでしょう。

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