ロココ建築

ロココ建築

ロココ建築は18世紀のフランスにルーツを持つ建築様式で、特に宮廷建築でその特色が顕著に表れます。この様式は、独立した建築スタイルというよりは、後期バロック建築の特定の傾向を指します。ロココは「曲線」を多用し、繊細で装飾的な室内デザインが特徴です。

ロココの由来

ロココという言葉は、フランス語の「ロカイユ（rocaille）」に由来し、主にバロック庭園内に見られる岩のような装飾から進化しました。1730年代、フランスでは曲線的で柔らかな部屋のデザインが流行し、「ロカイユ装飾」と呼ばれるスタイルが人気を集めました。これにより、室内の空間が滑らかに繋がり、壁と天井の境目が曖昧になりました。

装飾の特徴

ロココ建築においては、ロカイユ装飾が部屋全体に施されています。この装飾は、優れた美しさと流れるような曲線を持ち、植物の葉や貝殻、波の波頭を彷彿とさせる非対称の抽象彫刻が施されています。このような装飾は木材やストゥッコと呼ばれる吹付材を用いて制作され、細部にわたって高い装飾性を持っています。

室内の変化

ロココの時代、室内は新しい装飾性を求める中で大きな変化を遂げました。それまでの厳格なゴシック装飾に代わり、人々はロココの自由で流動的なデザインを選びました。ジル・マリ・オップノールやジュスト・オレール・メッソニエなどの工匠たちが、そのスタイルの確立に寄与しました。ロココ建築では、オーダー（柱と梁の関係）に基づく従来のスタイルが廃止され、壁が一続きのパネルで構成されることで、空間全体がより一体的に表現されました。

実用性と親密性

この様式は、バロック建築とは対照的に実用性や私的な空間の快適さを重視していました。部屋は大広間から小規模な空間に分割され、個人のプライバシーや親密な雰囲気を重視するようになったのです。ロココのデザインは、威圧的で格式ばったものから、柔らかく、美しい情緒的なものへとシフトしました。

色彩と形式

色彩に関しても、ロココは軽快な印象を与える明るい色を用いました。金色や白が好まれる一方、淡い水色やピンクなどの鮮やかな色合いも取り入れられました。平面意匠において、ロココはバロック建築とは異なるデザインアプローチを取り、対称性よりも実用性や感情的なつながりを重要視しました。

主要な建造物

ロココ建築の代表的な構造物には、フランスのサンスーシ宮殿、小トリアノン、冬の間に使用されるスービーズ侯爵邸、そしてドイツのヴィースの巡礼教会などが挙げられます。これらの建物は、ロココ様式の美しさと洗練さを伝えています。エカテリーナ宮殿などもこのスタイルの影響を受けた重要な建物で、ロココの装飾美を今に伝えています。

もう一度検索