ロゴパグ

イタリア映画史に名を刻む異色作『ロゴパグ』

1963年、イタリアとフランスの合作によって誕生した『ロゴパグ (Ro.Go.Pa.G)』は、映画史に燦然と輝くオムニバス映画です。ロベルト・ロッセリーニ、ジャン＝リュック・ゴダール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ウーゴ・グレゴレッティという、それぞれが独自のスタイルを確立した巨匠4人が監督と脚本を務めた、まさに夢の競演と言えるでしょう。

タイトルである『ロゴパグ』は、4人の監督の名字の頭文字をとったものです。この時点で、並々ならぬ意気込みと、それぞれの個性が交錯する作品になることが予感されます。実際、本作は4つの独立した短編から構成されており、それぞれの監督の色が濃く反映された、バラエティ豊かな内容となっています。

4人の巨匠が織りなす、ユーモアと社会風刺

ロッセリーニ監督の『潔白 (Illibatezza)』、ゴダール監督の『新世界 (Il Nuovo mondo)』、パゾリーニ監督の『意志薄弱な男 (La Ricotta)』、そしてグレゴレッティ監督の『にわとり (Il Pollo ruspante)』。それぞれの短編は、コメディを基調としながらも、社会への鋭い風刺や、監督自身の哲学が巧みに織り込まれています。

特にパゾリーニ監督の作品は、イタリア当局から「国家の宗教にとって不愉快な物」として検閲を受け、没収処分に遭うという出来事が起こりました。イタリア国内での公開に際しては、パゾリーニ監督の作品を除外した上で、『自分を洗脳しよう (Laviamoci il cervello)』というタイトルで上映されました。このエピソードからも、本作が単なる娯楽作品にとどまらず、当時の社会情勢を反映した、非常に刺激的な内容であったことが伺えます。

各短編の個性と魅力

ロッセリーニの『潔白』では、彼の得意とするリアリズムと社会への洞察が、コメディタッチで表現されています。一方、ゴダールの『新世界』では、彼の革新的な映像表現と、社会への皮肉が爆発。パゾリーニの『意志薄弱な男』は、検閲騒動の裏側にある、その過激な内容も話題を呼びました。そしてグレゴレッティの『にわとり』は、独特のユーモアとシュールな世界観で、他の3作品とは一線を画す魅力を放っています。

4人の監督の個性がぶつかり合いながらも、全体として統一感のある作品に仕上がっているのも本作の特筆すべき点です。それぞれの短編が独立した作品でありながら、互いに補完し合うことで、より深い意味を持つ作品となっています。

映画史に残る貴重な作品

『ロゴパグ』は、単なるオムニバス映画という枠を超え、イタリア映画史、ひいては世界映画史において重要な位置を占める作品です。4人の巨匠がそれぞれの才能を結集し、創造性を爆発させたこの作品は、現在でも多くの映画ファンを魅了し続けています。その斬新な表現方法、社会への鋭い批判、そして何よりも4人の監督の個性が融合した、唯一無二の傑作と言えるでしょう。

様々な国で高い評価を受け、数々の映画祭にも出品されています。 興味を持った方は、ぜひ一度鑑賞し、その魅力を体感してみてください。

もう一度検索