ロサンゼルス統一学区

ロサンゼルス統一学区（LAUSD）

ロサンゼルス統一学区（Los Angeles Unified School District, LAUSD）は、ロサンゼルス市とその周辺地域に広がる教育機関で、カリフォルニア州内で最大、生徒数では全米第2位を誇る学区です。2007-2008年度のデータでは、生徒数が694,288人、教員数は45,473人、その他の職員数は38,494人に上りました。これは、ロサンゼルス郡における雇用者数の中でも突出して多いといえます。また、2009-2010年度の予算は、なんと73億ドルに達しました。

この学区の生徒は多様な人種構成を持ち、ヒスパニック系が72.3%、アフリカ系アメリカ人が9.6%、アメリカ白人が10.1%、アジア系が4%を占めています。このような多文化の環境は、教育方針や教育の質にも影響を及ぼしています。学校の運営は、指名された教育委員7名によって行われ、各委員は地域の有権者から選ばれます。現委員長はジョン・ディーシー（John Deasy）氏で、彼の前任はラムオン・C・コルティネス（Ramon C. Cortines）氏でした。

LAUSDは、1948年に設立されたロサンゼルス学校警察部を傘下に持ち、地域の治安維持にも努めています。学区内では、地域の約3分の1の幼児が教育を受けており、通学にはメトロポリタンバスが活用されています。食堂では1日50万食が提供され、その規模は地域のマクドナルドの営業を上回ります。

しかし、LAUSDは特有の課題にも直面しています。過密なクラス編成や生徒のドロップアウト率の高さ、学校施設のメンテナンス不足が指摘されており、教育の質に影響を与えています。2007年のデータによると、9年生から12年生までの間のドロップアウト率は26%に達しており、これらの問題を解決するための措置は十分ではありませんでした。

学区の歴史と管理

ロサンゼルス統一学区は、もともとロサンゼルス市立学校区（1853年設立）とロサンゼルス市立高校区（1890年設立）の2つの学区に分かれていましたが、1961年に統合されLAUSDが形成されました。この過程で、Topanga School DistrictとLas Virgenes Union School Districtは学区から外れましたが、1962年にはTopanga学区も統合されました。

1963年に人種差別問題が提起され、カリフォルニア最高裁判所は1977年までに人種差別を撤廃するための計画を策定するよう教育委員会に命じました。この過程で、バス通学を通じた人種間交流政策が導入されました。LAUSDは様々な教育改革を試みましたが、生徒の成績は依然低迷し続けています。

教育委員会のメンバーは各地域の選挙で選ばれるため、地域住民のニーズの反映が期待されますが、運営上の課題も多く、顧問の過剰雇用やコストの問題が続いています。特に2008年には、顧問に対して一般職員の2倍の給料を支払っているという指摘もあり、財政効率改善が求められています。

現在の状況と展望

21世紀に突入したLAUSDは、社会的な課題に直面しながらも教育の質向上に向けた取り組みを続けています。特に、都市部に多く存在する学校では、教育リソースの不足や生徒間の関心の低下が懸念されています。これに対して、教育委員会は様々な対策とプログラムを導入し、地域社会への影響を軽減することを目指しています。

例えば、マグネット・スクール制度により、特定の教育的特徴を持った学校が設立され、広範な地域から児童を引き寄せています。また、経済的な背景に関わらず、全ての生徒が質の高い教育を受けられるよう、様々な施策が講じられています。

以上のように、ロサンゼルス統一学区は多様な文化や人種が共存し、様々な課題に取り組む中で、将来の教育の在り方を模索し続けています。

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