ロシア・トゥデイ

RT（ロシア・トゥデイ）

RTは、2005年にロシアのモスクワで開局したニュース専門局で、ロシア連邦政府が所有する事実上の国営メディアです。RTの特徴は、その国際的な放送と多様な言語サービスにあり、アラビア語、スペイン語、英語などで情報を提供しています。開局当初から、RTは世界各地に支局を持ち、ロシアの視点からの報道を行ってきました。

概要

RTは現時点で2100名以上の従業員を抱え、アメリカのワシントンD.C.やマイアミ、ロサンゼルス、またロンドンやパリ、さらにはニューデリーやテルアビブにも支局を展開しています。こうした国際的なネットワークを背景に、RTは世界で影響力を持つメディアとして知られています。特に、アメリカではBBCニュースに次いで2番目に多くの視聴者を持つ外国語ニュースチャンネルとしての地位を築いています。

政治的立場

RTは、多極化した世界を強調する編集方針を持っており、国家主権主義やロシアを含む旧ソビエト連邦諸国の文化や生活様式の発信を重要視しています。また、アメリカの覇権主義や西側諸国の勢力を批判する内容も多く、制作する番組の中には、他の反西側メディアと共同で作成されるものもあります。編集長のマリア・シモニャンは、「報道には客観性が存在しない」と述べ、多様なメディアの存在を通じた視点の多様性を重視する姿勢を示しています。

しかし、RTには批判も多く、特にアメリカ在住の一部スタッフからは、ウクライナ問題に関する報道に対する不満が表明されています。キャスターのリズ・ウォールは、感情的な辞職を行い、RTの報道方針への疑念を示しました。

フェイクニュースとその批判

RTは、西側諸国のメディアや指導者から、ロシア政府のプロパガンダを行っているとの指摘を受けています。特にシリア内戦において、RTが伝えた情報はしばしば批判の的となり、事実と異なる報道が行われたとして非難されています。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、RTの報道を「プロパガンダ」として否定的に評価しました。

EUは2017年にRTを「外国エージェント」とする決定を下し、その後の報道活動に対して制約を課しました。2021年には、RTが気候変動に関するフェイクニュースを広めていることが調査によって明らかになり、メディアの信頼性に対してさらに疑念が深まっています。これらの背景により、RTは、特に欧州内での活動が厳格に制限されることとなり、2022年にはロシアのウクライナ侵攻に関連して放送禁止措置が取られました。

最近の情報によると、2024年のアメリカ大統領選挙への介入を試みたとして、RTの編集長らが制裁対象となるなど、国際的な政治情勢においても中心的な役割を果たしています。RTの存在は、今後もさまざまな議論を引き起こすことでしょう。

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