ロシア民主改革運動

ロシア民主改革運動（Российское движение демократических реформ）

概要

ロシア民主改革運動は、旧ソビエト連邦が解体へと向かう激動の時期、1991年に改革を断行しようとする急進的な勢力によって組織された政治運動体であり、その後、ロシア連邦における政党および選挙協力のためのブロックへと発展しました。ロシア語での正式名称は「Российское движение демократических реформ」です。

設立と初期の活動

この運動は、ソ連末期の改革の機運が高まる中で、既存の体制に飽き足らず、より抜本的な変革を求める人々によって1991年に立ち上げられました。当初は単に「民主改革運動」という名称で活動を開始しました。運動の設立には、当時の著名な改革派の指導者たちが深く関わっています。共同議長には、経済学者でありモスクワ市長も務めたガヴリール・ポポフ氏と、後にサンクトペテルブルク市長となる法律家アナトリー・サプチャーク氏が就任しました。彼らは改革派陣営の中心的人物であり、運動に大きな牽引力をもたらしました。

メンバーの拡大

「民主改革運動」は、その改革志向から多くの支持を集め、ソ連の政治エリートの中からも参加者を得るようになります。特に注目されるのは、ソ連外相という重責を担いながらペレストロイカを推進したエドゥアルド・シェワルナゼ氏と、労働組合指導者であったアルカジー・ウォリスキー氏の参加です。彼らが加わることで、運動の影響力はさらに増し、幅広い層からの支持を集める可能性が生まれました。シェワルナゼ氏の参加は、国際的な認知度向上にも寄与したと考えられます。

1991年8月クーデターへの対応

1991年夏、ソ連の保守強硬派がゴルバチョフ大統領を排除し、権力を掌握しようとするクーデターが発生しました（8月クーデター）。この歴史的な危機に際し、「民主改革運動」は明確な立場を取りました。改革派勢力を率いていた当時のロシア共和国最高会議議長ボリス・エリツィン氏への支持を表明し、保守派の動きに抵抗する側に立ちました。この時の彼らの態度は、その後のロシア政治における位置づけを決定づける上で重要な要素となりました。

ロシア民主改革運動としての再編成と選挙への参加

ソ連崩壊後、「民主改革運動」はロシア連邦という新たな国家体制の下で、改革を推進するための具体的な政治活動へと移行していきます。この過程で、彼らは「ロシア民主改革運動」と名称を改め、政党あるいは選挙における政治勢力としての組織を強化しました。彼らの目標は、ロシアにおける民主主義と市場経済の確立、そして社会の近代化でした。

転換期となったのは、1993年に行われたロシア連邦議会選挙です。ロシア民主改革運動は、選挙ブロックとしてこの選挙に参加しました。全国の有権者に対して改革路線の支持を訴えましたが、選挙結果は限定的なものとなりました。得票率は4.08パーセントに留まり、議会において獲得できた議席数は5議席にとどまりました。この結果は、当時のロシアにおける改革派勢力の分裂や、国民の中に広がりつつあった改革への期待と同時に、混乱や困難に対する不満が影響していたことを示唆しているかもしれません。

その後の位置づけ

1993年の選挙結果後、ロシア民主改革運動は、ロシア政治において主要な勢力となるには至りませんでした。しかし、ソ連末期からロシア連邦成立初期という極めて重要な時期において、改革を求める声を集約し、特定の政治勢力として活動したという歴史的な役割を果たしました。初期の主要メンバーの多くは、その後も様々な形でロシアの政治に関与していくことになります。

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