ロシア連邦への日本政府の政策に対する報復措置に関してのロシア外務省声明

ロシア外務省による日本人への入国禁止措置について

2022年、ロシア外務省は、日本政府がウクライナ情勢を巡りロシアに対して行った制裁措置への報復として、日本人に対する入国禁止措置を二度にわたり発表しました。

第一弾：2022年5月4日

第一弾として、閣僚、国会議員、メディア関係者、研究者、自衛官など、合計63名の日本人の入国を無期限で禁止すると発表しました。この措置は、ロシア外務省が「岸田内閣が前代未聞の反ロシアキャンペーンを展開し、ロシアの経済と国際的な権威を損ねようとしている」と非難したことに対するものです。対象者には、岸田文雄首相をはじめ、松野博一官房長官、林芳正外務大臣など、政府要人が含まれています。また、沖縄・北方問題に関する特別委員会所属の議員が多数含まれている一方で、同委員会所属でありながらロシアとの関係が深いとされる鈴木宗男氏や、菅直人元首相などは対象外となっています。さらに、産経新聞社や読売新聞グループ本社などのメディア関係者や、ウクライナ研究者の岡部芳彦氏などの名前も確認できます。

第二弾：2022年7月15日

第二弾として、7月14日付で衆議院議員384名の入国を禁止すると発表しました。このリストには、自由民主党の麻生太郎氏や菅義偉氏、立憲民主党の泉健太氏、国民民主党の玉木雄一郎氏など、各党の代表や重鎮が含まれています。この措置は、第一弾と同様に、日本政府の制裁措置に対する報復として行われました。

背景にあるもの

ロシア外務省は、これらの措置は、日本政府がウクライナ情勢を巡りロシアに対して行っている制裁措置に対する対抗措置であると表明しています。特に、ロシア側は岸田内閣が「反ロシアキャンペーン」を展開していると非難しており、今回の入国禁止措置もその一環であると位置づけています。一方、岸田文雄首相は、今回の事態を招いたのはロシア側であり、責任は全面的にロシアにあると反論しています。

制裁対象者の選定について

制裁対象となったウクライナ研究者の岡部芳彦氏は、自身の見解として、日本のテレビ番組でウクライナ侵攻や北方領土問題についてロシアを批判した人が選ばれている可能性を指摘しています。また、プーチン大統領との会談などで交渉力、外交力の高さを見せた安倍晋三元首相が含まれていないこと、沖縄・北方問題に関する特別委員会所属の議員が多数含まれている一方で、同委員会所属でありながらロシアとの関係が深いとされる鈴木宗男氏が選ばれていないことなどから、ロシア側の選定基準には、単なる政府関係者や国会議員への報復措置とは異なる、より複雑な意図が存在すると推測されます。さらに、現職の衆議院議員の中で、菅直人氏（現職議員の首相経験者で唯一選ばれていない）など59人がリストに選ばれていないことも注目に値します。

まとめ

ロシア外務省による日本人への入国禁止措置は、ウクライナ情勢を巡る日本政府とロシア政府の対立が激化している状況を如実に表しています。この措置は、単なる報復措置にとどまらず、ロシア側の日本に対する外交的なメッセージであるとも考えられます。また、対象者の選定基準には、ロシア側の独自の基準が存在すると考えられ、今後の両国関係に大きな影響を与える可能性があります。

この入国禁止措置は、両国間の緊張関係をさらに高める要因となっており、今後の外交交渉の行方が注目されます。

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