ロシア連邦刑執行庁

ロシア連邦刑執行庁の概要

ロシア連邦刑執行庁（FSIN）は、ロシア連邦の司法省に属し、国内の刑務所や拘置所を運営する重要な機関です。その設立は2004年の大統領令に基づいており、当初は監獄総局としてスタートしました。今では、ロシア国内の刑事施設に関する全てを管轄しています。

歴史的背景

ロシアにおける刑務所制度の起源は、1560年代のシベリア征服に遡ります。当時、受刑者は「カートルガ」と呼ばれる重労働に従事させられ、国家の発展に寄与する無償労働力として利用されました。シベリア送りの受刑者は1645年までに約1500人に達し、19世紀初頭には年間2000人以上に上りました。

1802年、ロシア帝国内務省が設立され、刑事施設の管理は警察部門に移されましたが、その後も警察の関与が薄く、行刑制度は脆弱でした。1879年、内務省に監獄総局が創設され、これが後の連邦刑執行庁の前身となります。時代の変遷の中で、監獄総局は司法省やソヴィエト連邦の内務省に属し続け、1998年から2004年にかけては司法省刑執行総局として運営されました。

組織構成

FSINは長官を頂点とし、18の主要部門で構成されています。これには、作戦総局や内部監察局、法務局、そして医療・衛生組織局などが含まれます。また、全国各地に204の拘置所、642の矯正コロニー、8つの刑務所、17の教育コロニーが配下にあり、管理のもとで様々な活動が行われています。

被拘禁者の現状

2019年のデータによると、FSINは52万7000人の受刑者を管理しており、これは世界的に見ても上位に位置します。しかし、人口に対する被拘禁者の割合では21位とされています。この数字は、刑務所制度の過酷さを反映しているとも言えます。

不祥事と人権問題

FSINは、汚職問題や人権侵害が頻発する機関として知られています。特に、内部監察が不十分なため、刑務所の環境や被拘禁者の人権がしばしば軽視されています。例えば、2009年には、税務調査を受けていた人権活動家が拘置所内で死亡する事件が発生し、これが国際的な注目を集めました。この事件は、後に「マグニツキー法」として知られる法律の成立につながりました。

また、2010年から2012年には、高額なセキュリティシステムの購入を巡る汚職事件が露見しました。購入された備品は多くが未使用のまま放置され、その背景にはorganized crimeとのつながりが指摘されています。刑務所内での安全性が向上するどころか、逆に脱獄や暴力事件が増加しているという皮肉な結果となっています。

2018年にはヤロスラヴリ第1刑務所での暴行事件や、同年に実業家の死が法医学検査で首を絞められた結果であることが判明した事件が報じられ、FSINの週間はさらに深刻化しています。また、2021年にはイルクーツク州での大量拷問事件が発覚し、刑務官が解雇される事態となりました。

これらの問題は、FSINだけでなく、ロシアの法執行機関全体に対する信頼を揺るがす要因となっています。人権が守られ、適切な監視と管理が行われることが求められる中、刑務所制度の改善は急務です。

結論

ロシア連邦刑執行庁は、その設立から今日にかけて、多くの歴史を刻んできました。しかし、その内部での不正や人権侵害が続く限り、社会全体における信頼は得られないでしょう。制度的な改革が期待される中、これからのFSINの動向に目が離せません。

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