ロシア高層アパート連続爆破事件

ロシア高層アパート連続爆破事件

概要

1999年、ロシアで発生した一連の爆弾テロ事件は、国内3都市、特にモスクワで多くの死者を出し、当時のプーチン首相の強硬政策を後押しするきっかけとなりました。政府はこの事件を、チェチェン共和国の独立派によるものとし、これが第二次チェチェン戦争へとつながる要因となりました。一方で、一部のジャーナリストや歴史家は、実際にはロシア政府がこの事件を演出したのではないかと主張しています。

事件の詳細

この一連の爆破事件は、1999年8月31日から9月16日にかけて発生しました。最初の事件はモスクワのショッピングモールで起き、1名が死亡し、40名以上が負傷。続いて、ダゲスタンの集合住宅が爆破され、多くのロシア兵とその家族が犠牲となりました。9月9日には別のモスクワの集合住宅で94名が死亡し、さらに9月13日にはカシールスカヤ街道沿いの集合住宅が爆破され119名が死亡しました。また、9月16日にはヴォルゴドンスクでも17名が死亡するなど、合計で300名近い犠牲者を出しました。

こうした事態を受けて、ロシア軍は9月23日からチェチェンへの無差別爆撃を始め、10月1日には地上侵攻を実施しました。プーチンはこの政策により国内の強い支持を集め、首相から大統領に上り詰めることとなります。

公式説と疑問

2000年、ロシア連邦保安庁（FSB）は事件についての公式発表を行い、チェチェンから爆弾が輸送されたことを明らかにしました。しかし、この情報に対して異論も多く、元FSBの職員リトビネンコ氏や歴史家らは、事件が政府の権力強化のために仕組まれたものではないかと考えています。

特に、リャザン地域での不審物発見事件について、多くの専門家が政府による自作自演を疑っています。この事件では時限爆弾らしき物体が発見された一方で、警察はその後「これは訓練だった」とする政府の説明があり、情報が錯綜しています。元FSB職員によると、リャザンのトラブルの背後には、爆薬として使用されていたRDXが関与しており、発見されたはずの爆弾が本物かどうかに関して確認がなされていません。

チェチェン独立派の反応

アパート爆破事件に対するチェチェン独立派の指導者シャミル・バサエフは、ダゲスタン侵攻に対する関与は認めているものの、アパート爆破事件については関与を否定しています。このように、テロリズムとの関与が疑われる事件について、公式見解と非公式説は対立しており、真相は未だに解明されていません。

議会の反応

事件の発生当時、ロシアの下院では共産党の議長がテロに関する誤情報を流すなど、混乱が生じていました。この件についても、リトビネンコはFSBが意図的に混乱を招いたと語っています。

結論

ロシア高層アパート連続爆破事件は、国家の政策や政治的意図が絡み合った非常に複雑な側面を持っています。公式な説明と一部の研究者の疑問が対立し、今なおその背後にある真実は見えないままとなっているのです。

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