ロジャス・レナー

ロジャス・レナー（Lojas Renner S.A）

ブラジルにおいて小売業界で重要な位置を占めるロジャス・レナー（Lojas Renner S.A）は、国内で第三番目に大きい規模を誇る百貨店チェーンです。その本拠地は、ブラジル南部に位置するリオグランデ・ド・スル州の州都、ポルトアレグレに置かれています。

創業と初期の展開

ロジャス・レナーの歩みは、1912年にまで遡ります。この年、創業者のアンソニー・ヤコブ・レナー氏によって「A.J.レナー社」が設立されたのが始まりです。創業当初、同社が主として手がけていたのは、男性向けの羊毛製品や皮革製品の製造および販売でした。特に、ブラジルの広大な大地で活動するカウボーイたちは、寒さや風雨といった厳しい気候に耐えうる丈夫で機能的なこれらの製品を高く評価し、大きな支持を得ていました。

百貨店への発展と変革

時代が進み、1940年代に入ると、A.J.レナー社はその事業の幅を大きく広げます。取り扱う商品の種類を多様化させ、やがて総合的な百貨店へと業態を発展させていきました。この変化を経て、1965年には現在の法人形態である「ロジャス・レナーS.A.」へと組織名を改称し、企業としての体制を強化します。その二年後となる1967年には、株式公開を実現し、より開かれた企業へと転換しました。

さらに、事業戦略上の大きな転換期を迎えたのは1991年です。この年、ロジャス・レナーはそれまでの総合百貨店という形態から、衣料品を中心とした専門性の高い百貨店へと焦点を絞る方針を採択しました。これにより、主力であるファッション関連分野における競争力を高めることを目指しました。

資本提携と独立

企業の歴史において、所有構造に大きな動きが見られた時期もありました。1998年12月22日、アメリカ合衆国に拠点を置く世界的な大手百貨店チェーンであるJ.C.ペニーが、ロジャス・レナーの発行済み株式の実に97.7パーセントを取得し、実質的な支配権を握りました。これは、ブラジルの小売市場における国際企業の関心の高さを示す出来事でした。

しかし、J.C.ペニーによるロジャス・レナーの支配は永続的なものとはなりませんでした。それから約6年半後の2005年6月、J.C.ペニーはその保有する株式を売却することを決定します。これにより、ロジャス・レナーは再び独立した企業としての道を歩むこととなりました。

現在、ロジャス・レナーはサンパウロ証券取引所（B3）に上場しており、ブラジル国内の主要な小売企業として、その地位を確固たるものにしています。創業以来の長い歴史の中で、時代の変化に合わせて業態や戦略を柔軟に変えながら、ブラジル市場での成長を続けています。

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