ロジャー・ラビット (コンピュータゲーム)

ロジャーラビット～クレイジーキャッスルシリーズの軌跡～

1989年、ファミコンディスクシステム向けに発売された『ロジャーラビット』は、映画『ロジャーラビット』を題材としたアクションゲームとして登場しました。しかし、このゲームは地域によって大きな違いを見せています。日本ではロジャーラビットが主人公ですが、北米では版権の関係から、ワーナー・ブラザースのバッグスバニーに置き換えられ、『The Bugs Bunny Crazy Castle』というタイトルでリリースされました。

このゲームの面白さは、全60ステージにわたる、シンプルながらも奥深いゲーム性にあります。プレイヤーはロジャーラビット（またはバッグスバニー）を操作し、各ステージに隠されたハートを探し集めるのが目的です。ハートを見つけるとスコアが加算され、全ハートを回収すると次のステージに進めます。ステージクリアごとに、ゲームオーバー時の猶予（エクステンド）が与えられるシステムです。

しかし、このゲームは決して易しくはありません。各ステージには敵キャラクターが徘徊しており、接触するとミスとなります。ロジャーラビットは直接攻撃手段を持たないため、ステージに配置されたグローブや錘といったアイテムを使って敵を倒すか、敵の行動を予測して回避する必要があります。アイテムで敵を倒すと高得点を得ることができ、ゲームの腕前を競う要素も含まれています。また、ジャンプアクションはできないため、ステージの構造を理解し、敵の動きを先読みしながらプレイすることが重要です。

セーブ機能はありませんが、ステージクリア時に表示されるパスワードを利用して、中断した場所から再開できます。このパスワードシステムは、当時のゲームにおいては一般的なものでしたが、このゲームにおいても、プレイの継続性を確保する上で重要な役割を果たしていました。

その後、1989年9月にはゲームボーイ版が発売されました。こちらは、日本ではミッキーマウス、北米ではバッグスバニーが主人公として登場します。基本的なゲーム内容はファミコン版とほぼ同じですが、携帯型のゲーム機という特性を活かした、新たなゲーム体験を提供しました。

さらに、このシリーズは『クレイジーキャッスル』シリーズとして発展していきます。様々なキャラクターが登場し、ゲームボーイやゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスなど、複数のプラットフォームでリリースされました。日本版ではミッキーマウスが多くの作品で主人公を務めた一方、北米版ではバッグスバニーが中心的なキャラクターとして活躍しました。初期の作品では『クレイジーキャッスル』という名称は使われていませんでしたが、シリーズが進むにつれて、この名称がタイトルに含まれるようになりました。

1997年には、ゲームボーイ用ソフト『バックスバニーコレクション』が発売されました。これは北米で発売された『The Bugs Bunny Crazy Castle』とその続編『The Bugs Bunny Crazy Castle II』をまとめた作品で、スーパーゲームボーイにも対応していました。日本ではバッグスバニーを主人公とした作品として発売されました。

ゲーム誌『ファミコン通信』や『ファミリーコンピュータMagazine』のレビューでは、ファミコン版は23点（満40点）、ゲームボーイ版は21点（満40点）という評価を得ています。一方で、『ユーゲー』誌ではファミコン版について、「地味で覇気がない」という厳しい評価が下されています。これは、ゲームのシンプルなゲーム性と、キャラクターの表現力に起因する可能性があります。

『ロジャーラビット』シリーズ、特にクレイジーキャッスルシリーズは、地域差のあるキャラクター選択や、シンプルながらも奥深いゲーム性、そして携帯ゲーム機への移植など、様々な要素が絡み合った興味深いシリーズと言えるでしょう。それぞれのプラットフォーム、地域で異なる魅力を持つこのシリーズは、レトロゲームファンにとって、魅力的な存在であり続けています。

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