ロスト・エピソード

ロスト・エピソード

『ロスト・エピソード』（The Lost Episodes）は、アメリカのロック・ミュージシャンであるフランク・ザッパが1958年から1992年にかけて収録した未発表の音源や会話を集めたアルバムです。このアルバムは、ザッパ自身が編集を行い、彼の死後の1996年にリリースされました。

アルバムの背景

ザッパは1969年のインタビューにおいて、多数の音源を収録した大作『The History and Collected Improvisations of The Mothers Of Invention』を計画していました。当初は10枚組としてのリリースを予定していましたが、ザッパがザ・マザーズ・オブ・インヴェンション（MOI）の解散を宣言したことも影響し、最終的には12枚組に拡大することとなりました。この構想には、ザッパが音楽キャリアをスタートさせる前の音源や、MOIが発足する以前の活動に関する未発表音源も含まれており、非常に野心的なものでした。

しかし、製作費が250,000ドルにも達することが判明し、この計画は頓挫しました。その後もザッパは様々な形で音源のリリースを追求し続け、1981年には自身のレコード会社Barking Pumpkin Recordsを設立。これを機に、MOI名義とザッパ名義のアルバムの権利を取得し、1985年から1987年にかけてThe Old Mastersというシリーズをリリースすることができました。

アルバムの内容

『ロスト・エピソード』には、合計30曲が収録されています。内容は多岐にわたり、インストゥルメンタル曲が13曲、ボーカル曲が10曲、そして会話のみのトラックが7曲含まれています。録音された時期も幅広く、1958年から1979年にかけての音源が収められています。このアルバムには、同様の音源を収録した『ミステリー・ディスク』と一部重複するものもありますが、それとは異なる新しい録音も存在します。

特に注目すべきは、『ロスト・エピソード』に収録された『Lost in a Whirlpool』という曲です。この曲は、ザッパがまだ若かった頃の音源で、彼の弟ボビーとともに録音されました。また、1963年のコンサート音源である『Mount St. Mary's Concert Excerpt』や、映画『Run Home Slow』のために作曲された『Run Home Slow Theme』も収録されています。

さらに、ザッパとその他のアーティストとの共作や、後にMOIによって再録音された曲も多く含まれています。これらの音源は、ザッパの音楽的な幅広さと、彼が持っていた独自のスタイルを示すものです。

結論

『ロスト・エピソード』は、フランク・ザッパの音楽的遺産を知る上で欠かせない重要なアルバムです。彼のクリエイティビティ、革新性、そして音楽に対する情熱が詰まったこの作品は、ファンや新たに彼の音楽に触れる人々にとっても、楽しむことができる一品となっています。ザッパ本人の編集によるこのアルバムは、聴く人に彼の音楽とその背景にあるストーリーを体験させてくれる貴重な資料であり、ファン必携のアイテムです。

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