ロスト・ハイウェイ (映画)

『ロスト・ハイウェイ』は、1997年に公開されたデヴィッド・リンチ監督によるアメリカ・フランス合作のミステリー映画です。リンチ監督自身が「登場人物が入れ替わるという物語の着想はO・J・シンプソン事件から得た」と語っているように、現実と虚構が入り混じる、観る者を深く惑わせる作風が特徴です。

物語は、ジャズミュージシャンのフレッド・マディソンが、ある朝インターホンに出ると「ディック・ロラントは死んだ」という謎の言葉を聞くところから始まります。その後、フレッドと妻のレニーの自宅玄関前にビデオテープが置かれていることに気づきます。そのテープには、自宅の玄関先が映っていました。さらに翌日、2本目のテープが届き、今度は家の中、リビングから寝室へと移動し、眠る2人の姿が記録されていたのです。誰が、何のために？不安が募る中、フレッドはパーティーで、白塗りの顔をした謎の男（ミステリーマン）と出会います。男はフレッドに近づき、「前に会いましたね、あなたの家で…」と告げ、さらに「今もあなたの家にいる」と奇妙な言葉を続けます。そして、電話で自宅に電話をかけるよう促します。電話をかけると、そこから聞こえてきたのは、目の前にいるはずの男の声でした。現実と虚構が曖昧になり、物語はさらに不可解さを増していきます。

フレッドとレニーを演じるのは、ビル・プルマンとパトリシア・アークエット。謎の男にはロバート・ブレイクが扮し、その不気味な存在感は見る者に強い印象を与えます。また、ピーター・レイモンド・デイトン役にはバルサザール・ゲティ、ミスター・エディ/ディック・ロラント役にはロバート・ロッジアなど、実力派俳優たちが脇を固めます。

この作品には、いくつかの興味深いエピソードがあります。主人公が住む白い家は、実際にデヴィッド・リンチ監督がロサンゼルスのハリウッド・ボウル近くに所有する家が使われています。また、出演俳優の一人であるジャック・ナンスは、本作の公開1年前に亡くなっています。

『ロスト・ハイウェイ』は、一見すると難解で理解しにくいかもしれませんが、その独特な世界観と、映像表現は観る者を魅了します。デヴィッド・リンチ監督ならではの不条理な展開、そして予測不可能な物語は、一度観たら忘れられない強烈な印象を与えます。人間の深層心理に潜む不安や恐怖を描いたこの作品は、ミステリー映画の新たな境地を切り開いたと言えるでしょう。

関連情報として、以下の外部リンクも参照ください。

ロスト・ハイウェイ - allcinema
ロスト・ハイウェイ - KINENOTE
Lost Highway - オールムービー（英語）
Lost Highway - IMDb（英語）

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