ロックアップ (映画)

『ロックアップ』：理不尽な監獄に立ち向かう男

1989年に公開されたアメリカのアクション映画『ロックアップ』は、ジョン・フリンが監督を務め、シルヴェスター・スタローンが主演を務めた作品です。無実の罪ではないものの、模範囚として刑期を終えようとしていた一人の男が、過去の因縁から刑務所所長の標的となり、想像を絶する過酷な試練に立ち向かう姿を描いています。

物語の概要

主人公フランク・レオンは、刑期満了まであと半年という模範囚でした。愛する恋人メリッサとの未来を心待ちにする日々を送っていましたが、ある夜、突然、悪評高いゲートウェイ刑務所へと移送されてしまいます。この出来事は、かつてフランクに脱獄されたことで自身のキャリアを傷つけられた、刑務所所長ドラムグールによる周到な計画でした。ドラムグールはフランクへの復讐を果たすため、彼をゲートウェイに引き入れ、自らの手足として動く悪徳看守や凶悪な囚人たちを使って、執拗な嫌がらせを開始します。

ゲートウェイに送られたフランクは、すぐに様々な人物と出会います。長い刑期に絶望し脱獄を企てるダラスは、脱獄経験のあるフランクに協力を求めますが、残りの刑期を平穏に終えたいフランクは彼を相手にしません。自動車修理班のボス、エクリプスは最初はフランクを遠ざけます。そんな中、若い囚人ファーストベースが、所長の手先でもある凶悪犯チンクに絡まれているのを目にしたフランクは、彼を庇い、代わりにチンクらが仕組んだアメフトの試合に出場します。この試合は、実際にはチンクとその仲間たちによるフランクへのリンチの場でしたが、フランクの不屈の精神に感銘を受けたエクリプスが加勢し、窮地を脱します。しかし、メリッサから贈られた大切なペンダントを奪われてしまいます。

アメフトの一件をきっかけにフランクの人間性を認めたエクリプスは、彼を自分の修理工房に迎え入れます。そこでフランクは、ダラスやファーストベースと共に、修理困難とされていたクラシックカーの再生に取り組み始めます。この共同作業を通じて、囚人たちの間に絆が芽生え、友情が育まれていきます。クラシックカーが完成した日、車で街を走ることに憧れていたファーストベースの夢を叶えようと、フランクは車を動かします。しかし、興奮したファーストベースはフランクの制止を聞かず、車で敷地内を暴走してしまいます。すぐに車は止められ、ファーストベースは看守に引きずり降ろされ、ドラムグールの指示で車は破壊されます。主犯とされたフランクは独房に送られ、数十分ごとに強烈な光とブザーによる拷問を受け続けます。睡眠を奪われ衰弱していくフランクが番号を答えられなくなると、看守のマンリーらは暴行を加えます。

独房から解放された数日後、ドラムグールの命令により、ファーストベースがチンクらに襲われ、無残にも殺害されてしまいます。親しい友を失ったフランクの怒りは爆発し、チンクとの死闘の末に勝利しますが、彼を殺せば出所が遠のき所長の思惑通りになるため、とどめは刺しませんでした。代わりに、かつて奪われたメリッサのペンダントを取り戻します。

刑期終了が迫るある夜、出所を翌々日に控えた車椅子の囚人が、出所後にメリッサをレイプするとフランクに告げます。メリッサに危険を知らせようとするフランクですが、看守のマンリーは電話を許可しません。愛する人を守るため、フランクはついにダラスと共に脱獄を決意します。しかし、ダラスの案内に従って進んだ先には、ドラムグール所長やマンリーらが待ち伏せていました。ダラスは、自身の長い刑期を短縮するという条件で、フランクを裏切っていたのです。しかし、ドラムグールは「犯罪者との取引などしない」とダラスを切り捨てます。怒り狂うダラスですが、多数の看守に反撃され、瀕死の状態で貯水槽に落とされます。さらに、メリッサへのレイプを予告した車椅子の囚人が看守として現れ、そのレイプ予告がフランクを脱獄させるための所長の罠だったことが明らかになります。

フランクは自身への制裁を担当する3人の看守と戦い、2人を倒しますが、マンリーに追い詰められます。その時、貯水槽に落ちたダラスが、配電線を引きちぎり貯水槽に投げ込み、自らを犠牲にしてマンリーを感電死させます。フランクは看守たちの追跡をかわし、ドラムグールを捕らえて電気椅子に拘束します。駆けつけた看守たちに対し、フランクは電気椅子の作動レバーと自分の手を固定し、自分が撃たれれば所長も感電死する状況を作り出し、発砲を封じます。命乞いをするドラムグールにこれまでの悪事を自白させ、フランクはついに所長の支配から解放されるのでした。

数日後、出所日を迎えたフランクは、エクリプスや一部の看守に見送られ、刑務所の門を出ます。そこには、彼の帰りを待ち続けた恋人メリッサの姿がありました。

主な登場人物

フランク・レオン: 本作の主人公。模範囚でありながら、過去の脱獄が原因でドラムグール所長に狙われる。自動車修理の腕を持つ。
ドラムグール所長: ゲートウェイ刑務所の所長。過去の恨みからフランクを執拗に追い詰める冷酷な人物。
メリッサ: フランクの恋人。彼の心の支えであり、出所を待ち続ける。
ダラス: 長期刑に服する囚人。脱獄を企て、フランクに近づく。お調子者だが、内に葛藤を抱える。
ファーストベース: 若い囚人。短気な性格だが、フランクとの交流を通じて心を開く。ドラムグールの陰謀の犠牲となる。
エクリプス: 自動車修理班のボス。巨漢だが公正な人物。フランクの人間性を認め、協力する。
チンク: ゲートウェイの凶悪囚人のリーダー。ドラムグールの手先となり、フランクやファーストベースを襲う。
メイズナー看守長: 厳格な看守長。ドラムグールのやり方に疑問を抱くようになる。

その他

本作の撮影の一部は、ニュージャージー州にある東ジャージー州刑務所で、実際に囚人たちをエキストラに起用して行われました。これにより、リアリティのある刑務所の描写が実現しています。

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