ロックン・ローリング・ストーンズ

ローリング・ストーンズのコンピレーションアルバム『ロックン・ローリング・ストーンズ』(Rock 'n' Rolling Stones)は、1972年にリリースされた、彼らの初期のエネルギーとロックンロールへの愛が凝縮された作品です。このアルバムは、ストーンズ自身の楽曲と、ロックンロールのレジェンドたちの楽曲を巧みに織り交ぜた選曲で知られています。

特に目を引くのは、チャック・ベリーのカヴァーが5曲も収録されている点です。ベリーの楽曲は、ストーンズ自身の音楽的ルーツを如実に示しており、彼らの音楽性がベリーの影響を強く受けていることが分かります。収録されているベリーのカバー曲は、「Come On」、「Talkin' About You」、「Bye Bye Johnny」、「Little Queenie」、「Carol」と、いずれもロックンロールの歴史的名曲揃いです。

ストーンズ自身の楽曲は、「The Under Assistant West Coast Promotion Man」と「19th Nervous Breakdown」の2曲のみで、残りの楽曲は、他のアーティストによる名曲のカヴァーとなっています。例えば、ルート66の原曲を提供したボビー・トゥループの「Route 66」、ウィリー・ディクソンのブルージーな名曲「I Just Want to Make Love to You」、そしてソウルミュージックの定番曲「Everybody Needs Somebody to Love」など、多様な楽曲が収録されています。これらのカバー曲は、ストーンズによる独自の解釈が加えられ、彼らの音楽性と高い演奏技術によって新たな魅力が吹き込まれています。

さらに注目すべき点は、このアルバムに収録されている「Little Queenie」と「Carol」の2曲がライブ録音であることです。当時のストーンズのライブパフォーマンスの熱気と迫力がそのまま伝わってくる、貴重な音源となっています。これらのライブ音源は、スタジオ録音とは異なる、生々しい演奏と観客の熱狂が感じられ、アルバム全体の聴きどころの一つとなっています。

『ロックン・ローリング・ストーンズ』は、未CD化であるため、入手困難なアルバムとして知られています。そのため、多くのコレクターから高い人気を誇り、彼らの初期の音楽性を理解する上で重要な作品となっています。このアルバムを通して、ストーンズがロックンロールという音楽ジャンルに多大なる影響を与え、その伝統を受け継ぎながら独自の音楽世界を築き上げてきた歴史の一端を垣間見ることができます。1970年代初頭のストーンズの勢い、そしてロックンロールの精神が凝縮された、まさに珠玉のコンピレーションアルバムと言えるでしょう。

このアルバムを通して、ローリング・ストーンズの幅広い音楽性と、ロックンロールへの深い愛情、そして彼らの卓越した演奏技術を改めて感じ取ることができます。未CD化という希少性も相まって、ロックンロールファン、そしてローリング・ストーンズファンにとって、まさに垂涎の的となる1枚です。

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