ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ

ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ (Rock of the Westies)

エルトン・ジョンが1975年にリリースした「ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ」は、彼のキャリアにおいて重要なアルバムの一つです。この作品は、前作からわずか五ヵ月後に発表され、バンドメンバーのディー・マレイとナイジェル・オルソンが脱退した後の新しいメンバーを迎えてのレコーディングでした。その影響も感じられる作品となり、より荒々しいポップロックサウンドが特徴です。

新メンバーには、エルトンの旧友であるカレブ・クェイとロジャー・ポープが加わり、キーボードにはジェイムズ・ニュートン・ハワードが参加しています。彼らはそれぞれエルトンと過去にコラボレーションをしてきた経験があり、新風を吹き込む存在となりました。

今回リリースされたアルバムには、特に注目を集める収録曲が並んでいます。中でも「メドレー（助けて！〜水曜の晩じゃないといい〜厄介女）」や「アイランド・ガール」、「さすらいの弾丸（ロバート・フォードの拳銃）」など、多彩な楽曲が展開されています。また、リリース後に登場したリマスター盤にはボーナストラックが追加され、英国版と米国版では収録曲に違いがあるのも特徴的です。

ボーナストラックとして収められた「恋のデュエット」は、1976年に全英で1位を獲得したヒット曲です。この曲は、エルトンが創設したレーベル「ロケット・レコーズ」の最初のアーティスト、キキ・ディーとのコラボレーションにより生まれました。通常とは異なる形式で作られたこのデュエット曲は、エルトンにとって新たな挑戦となりました。また、アメリカ版には「プレインズ」や「ハウス・オブ・カーズ」といった楽曲も収録されています。

アルバムに参加したミュージシャンたちの活躍も見逃せません。エルトン・ジョンはボーカルとピアノを担当し、デイビー・ジョンストンはエレクトリックギターやアコースティックギターなどを演奏しました。カレブ・クェイとジェイムズ・ニュートン・ハワードもそれぞれ多様な楽器を操り、サウンドに深みを与えています。さらに、ロジャー・ポープがドラムを担当し、ケニー・パッサレリやレイ・クーパーといった他のミュージシャンも参加しています。

製作はガス・ダッジョンが手掛け、工夫を凝らしたアートディレクションはデヴィッド・ラーカムが担当しました。また、告知写真はテリー・オニールが撮影しており、そのイメージもアルバムに独特の雰囲気を与えています。

このように「ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ」は、エルトン・ジョンの音楽的成長を感じられる作品となっており、70年代のポップロックシーンにおいて重要な役割を果たしたアルバムと言えるでしょう。

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