ロック・ビリーヴァー

ロック・ビリーヴァー（原題: Rock Believer）は、ドイツを代表するハードロックアクト、スコーピオンズによって2022年に発表された、彼らにとって通算19作目（公式にスタジオアルバムとしてカウントされる作品）となるスタジオ・アルバムである。

前作『リターン・トゥ・フォーエヴァー』から実に約7年の沈黙を破って届けられた本作は、2016年に加入した元モーターヘッドのドラマー、ミッキー・ディーが初めて全面的に参加したフルレングスのスタジオ録音盤という点でも大きな注目を集めた。

このアルバムの制作過程において、メンバー自身が特に強調している点がある。リードボーカルのクラウス・マイネは、本作について「このアルバムは、シェンカー（ルドルフ・シェンカー）とマイネを中心としたスコーピオンズのDNAによって書かれ、レコーディングされた作品なんだ」と語っている。これは、バンドの根幹を成すソングライターであるシェンカーとマイネが主導権を握り、外部のコンポーザーに頼ることなく、バンド内部から生まれるアイデアを形にしたことを意味する。

さらに、レコーディング手法においても、彼らは過去の成功体験、特に1980年代のバンドが最も輝いていた時期のスタイルを意識的に取り入れたという。クラウス・マイネは続けて、「80年代にそうしていたように、一つの部屋の中でバンドがライヴでレコーディングしたんだ」と説明しており、メンバー全員が一つのスタジオ空間に集まり、互いの演奏を感じながら同時に録音するという、よりオーガニックでライブ感のあるアプローチが採用された。これにより、バンドの持つダイナミズムや一体感がサウンドに直接的に反映されているとされる。

過去のアルバム、具体的には前作やその前の作品には、外部のソングライターから提供された楽曲が収録されていた時期もあったが、『ロック・ビリーヴァー』においては、そうした外部からの提供楽曲は一切排除され、純粋なスコーピオンズのオリジナル楽曲のみで構成されている。この点からも、彼らが本作で「バンド本来の音」や「ルーツ」への回帰を目指したことがうかがえる。

本作の日本盤リリースに関しては、本国ドイツでのレコード会社移籍に伴い、販売レーベルが変更されている。これまでのソニー・ミュージックから、ユニバーサル・ミュージックへと切り替わった。日本盤CDには、スタンダードな海外盤の収録曲に加え、日本盤独自のボーナストラックが1曲収録されている。さらに、海外でリリースされたデラックス盤に収録されていた5曲のボーナストラックも追加で収録されており、合計6曲のボーナストラックを含む豪華な内容となっている。

本作の制作と演奏には、以下のメンバーが参加している。

クラウス・マイネ - ボーカル
ルドルフ・シェンカー - ギター
マティアス・ヤプス - ギター
パウエル・マチヴォダ - ベース
* ミッキー・ディー - ドラムス

『ロック・ビリーヴァー』は、長きにわたり第一線で活躍し続けるスコーピオンズが、結成から半世紀以上を経てもなお、ハードロックへの情熱とバンドとしての結束力を失っていないことを証明する、彼らのキャリアにおける重要な作品の一つと言えるだろう。

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