ロッテルダムダービー:港町の誇りをかけた戦い
オランダ第二の都市
ロッテルダム。この街には、
フェイエノールト、
スパルタ・ロッテルダム、
SBVエクセルシオールという3つのプロサッカークラブが存在し、それぞれの対戦は「
ロッテルダムダービー」と呼ばれ、
ロッテルダム市民にとって特別な意味を持つ。
ロッテルダムは、
オランダで唯一3つのプロクラブを持つ都市だ。
アイントホーフェンも複数のプロクラブを持つが、
PSVアイントホーフェンと
FCアイントホーフェンの間には、戦力差からダービーマッチが盛り上がりにくいという現状がある。
ロッテルダムで最も有名なクラブは、
フェイエノールト。AFCアヤックス、
PSVアイントホーフェンと共に、
オランダの伝統的3強に数えられる名門だ。一方、
スパルタ・ロッテルダムは1888年創設の
オランダ最古のプロクラブ。
SBVエクセルシオールは、労働者階級によって設立されたクラブとして知られている。
それぞれのダービー
ロッテルダムダービーの中でも、特に激しいのがこの対戦だ。過去には数々の名勝負が繰り広げられてきた。そのライバル意識の根源には、歴史的なサポーターの階級の違いがある。
1888年に上流階級出身者によって創設されたスパルタに対し、
フェイエノールトは労働者階級を中心に支持を集めた。この文化や背景の違いが、両クラブ間に様々な軋轢を生んだ。
近年では2010年4月に行われた試合で、
フェイエノールトが3-0で勝利している。しかし、スパルタが2部リーグに降格して以降、ダービーは開催されていない。
タイトル数や近年の成績では
フェイエノールトに及ばないものの、このダービーも
ロッテルダムのサッカーファンにとっては重要な一戦だ。スパルタは
オランダ最古のクラブであり、1900年代から1910年代、1950年代後半から1960年代前半にかけて全盛期を迎えた。一方、エクセルシオールはこれまで主要なタイトルを獲得したことがない。そのため、両者のライバル関係は
フェイエノールトとの対戦ほどではない。
2010年には、昇降格プレーオフで対戦。2部リーグのエクセルシオールが1部リーグのスパルタを下し、1部昇格を決めるという劇的な展開を見せた。
3つのダービーの中で、最も友好的な関係にあるのがこの対戦だ。両クラブは労働者階級に支持されてきた過去を持ち、1979年から提携関係にある。エクセルシオールは
フェイエノールトから若手選手の育成を託されており、
フェイエノールトの選手をレンタルで獲得することも多い。
しかし、エクセルシオールのサポーターの中には、
フェイエノールトとの提携に批判的な意見も存在する。一方、エクセルシオールの選手は、ダービーでの活躍が
フェイエノールトへのステップアップにつながると考え、モチベーションを高めている。
2010-11シーズンには、エクセルシオールが3-2で勝利するという番狂わせも起こった。
ロッテルダムダービーは、単なるサッカーの試合にとどまらず、
ロッテルダムの歴史や文化、そして市民のアイデンティティを象徴するものだ。近年は穏やかな傾向にあるとはいえ、各クラブのサポーターはそれぞれのチームに誇りを持ち、ライバル意識を燃やしている。
ロッテルダムダービーは、これからも
ロッテルダムのサッカーシーンを彩り続けるだろう。