ロナルド・ビッグズ

ロナルド・アーサー・ビッグズ：大列車強盗犯の生涯

ロナルド・アーサー・ビッグズ (1929年8月8日 - 2013年12月18日) は、20世紀を代表する犯罪者の一人として知られています。1963年に発生したイギリスにおける大列車強盗事件への関与で有名になり、その後の逃亡劇、ブラジルでの潜伏生活、そして晩年の帰国劇は、多くの人の記憶に刻まれています。本記事では、ビッグズの生涯と、事件への関与、そしてその後の波乱万丈な人生について詳細に見ていきます。

生い立ちと初期の犯罪歴

ロンドンで生まれたビッグズは、第二次世界大戦中の疎開生活を経て、18歳でイギリス空軍に入隊します。しかし、1949年に薬局への侵入窃盗で不名誉除隊。その後も自動車窃盗や強盗未遂などの罪で服役を重ね、ワンズワース刑務所に収監されました。この刑務所での服役中に、後に大列車強盗を共に行うことになるブルース・レイノルズと出会います。出所後は結婚し、一時は建設会社に勤めるなど、更生への道を歩もうとしていた時期もありました。

大列車強盗事件

1963年、一軒家の購入資金を貯めていたビッグズは、ワンズワース刑務所時代の知り合いであるレイノルズから、大列車強盗計画を持ちかけられます。18人の共犯者とともに実行されたこの計画では、事前に信号を改ざんすることで列車を停車させ、巨額の現金（当時260万ポンド、現在の価値で約6880万ポンド）を強奪しました。ビッグスの役割は、停車した列車を共犯者に移動させることでした。この事件は、イギリス史上最大の強盗事件として、社会に大きな衝撃を与えました。

逃亡とブラジルでの潜伏生活

逮捕後、有罪判決を受けたビッグズはワンズワース刑務所に収監されますが、1965年に脱獄に成功します。パリで顔面整形手術を受け、オーストラリアへ逃亡。その後、ブラジルのリオデジャネイロに潜伏し、約30年にわたる逃亡生活を送りました。ブラジルでは、犯罪人引渡し条約が適用されない法律の抜け穴を利用し、逮捕を免れました。潜伏生活の間、ビッグズは様々な仕事に就きながらも、常に逮捕の危険と隣り合わせで過ごしました。また、パンクロックバンドのレコーディングに参加するなど、意外な一面も見せています。この間、長男を交通事故で亡くすという悲劇も経験しています。

イギリスへの帰国と晩年

2001年、ビッグズは自身の希望でイギリスに帰国し、逮捕されます。帰国を報道したザ・サン紙は、彼の帰国に際し多額の費用を負担したと言われています。帰国後、心臓病などの持病を抱えていたことから早期釈放を求めていましたが、何度も拒否され、刑務所で過ごします。様々な健康問題を抱えながらも、釈放を求める訴えを続け、2009年、80歳の誕生日の直前にようやく釈放されました。しかし、釈放からわずか数年後の2013年、ロンドンの介護施設で84歳で亡くなりました。

ビッグズの遺産

ロナルド・アーサー・ビッグズは、その大胆な犯罪行為と、それに続く長い逃亡劇で、社会に大きな衝撃を与えました。彼の生涯は、犯罪と逃亡、そして人間の複雑な側面を物語る、興味深く、そして物議を醸すものです。彼の物語は、映画や書籍などを通じて、多くの人々に語り継がれ、現代においても大きな関心を集めています。彼の生き様は、犯罪の恐ろしさ、そして人間の自由への憧れを同時に示す、象徴的な存在と言えるでしょう。 また、彼の事件は、犯罪捜査や国際協力、そして法制度のあり方について、多くの議論を呼び起こすことになりました。 彼の波乱万丈な人生は、現代においても、人々に様々な感情と考察を促し続けていると言えるでしょう。

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