ロバート・アントン・ウィルソン

ロバート・アントン・ウィルソン (Robert Anton Wilson)

ロバート・アントン・ウィルソン（1932年1月18日 - 2007年1月11日）は、アメリカの小説家であり神秘主義者として名を馳せた人物です。彼が生まれたのはニューヨーク市ブルックリンで、学問の道ではニューヨーク大学で数学と工学を学びました。その後、さまざまな職業に従事し、エンジニア助手やセールスマン、コピーライター、さらには『プレイボーイ』誌の編集者としても活動しました。こうした多彩な職歴を経て、彼はSF作家としてのキャリアを築くことになります。

ウィルソンの名作の一つが、1975年にロバート・シェイと共著で発表された『イルミナティ』三部作です。この作品は、古代アトランティス以来存在したというオカルト団体イリュミナティーを扱ったもので、独自のユーモアとともに世界史を仮想世界として描き出しました。この三部作は瞬く間にカルト的な人気を博し、その後も彼は解説書や続編を中心に数多くの作品を世に送り出しました。彼が著した書籍は、実に35冊以上にのぼります。

また、1977年には自伝的な作品『コスミック・トリガー - イリュミナティ最後の秘密』を発表しました。本書は、幻覚作用のあるサボテンを利用しながら宇宙人と接触したとする体験を描いたもので、大きな話題となりました。1986年には『イルミナティ』三部作がプロメテウス賞殿堂賞を受賞し、彼の作品は広く評価されました。

1980年代には、彼は「サブジーニアス教会」からボブ法王として崇拝され、ニューエイジ哲学を風刺した形で新たな宗教的存在感を示しました。彼はティモシー・リアリーとの交流を通じて、ポップ・オカルトにおける重要な人物の一人としての地位を確立しました。

ウィルソンにまつわるエピソードの一つには、1995年の4月に彼の死のニュースがインターネット上を駆け巡ったことがあります。そのため多くのファンが追悼の意を示したのですが、一週間後に彼本人が「まだ生きている」と言い出し、信じられない様子で困惑する様子が伝えられました。これは実際の出来事であると同時に、彼のユーモアのセンスを象徴する面白い話です。

なお、ウィルソンは1992年に『Reality Is What You Can Get Away With: An Illustrated Screenplay』という、小説と映画脚本を融合させた形式の作品も書いています。彼の作品は、小説だけでなく、思考や哲学においても深い影響を与えたと言えるでしょう。

彼が著した著作には、『神経政治学 人類変異の社会生物学』や『サイケデリック神秘学 - セックス・麻薬・オカルティズム』、また『コスミック・トリガー - イリュミナティ最後の秘密』などがあります。彼の作品は日本語に訳されており、多くの読者に愛されています。特に『イルミナティ』三部作の翻訳は、翻訳書としても評価されています。

ウィルソンは生涯を通して、独自の視点とユーモアを持ち続けたことで、多くのファンを魅了しました。彼の影響は現在でも色あせることなく、様々な分野で語り継がれています。彼の考えや作品は、今なお多くの人に問いかけを持たせ、興味を喚起しています。

もう一度検索