ロバート・ニュージェント (初代ニュージェント伯爵)

初代ニュージェント伯爵ロバート・クラッグス＝ニュージェントの生涯

初代ニュージェント伯爵ロバート・クラッグス＝ニュージェント（1702年 - 1788年）は、アイルランド王国出身で、グレートブリテン王国の政治家、そして詩人として活躍しました。彼の波乱万丈な生涯を詳細に見ていきましょう。

生い立ちと政界への進出

1702年、ロバートはマイケル・ニュージェントとメアリー・バーンウォールの息子として誕生しました。1741年から1754年までセント・モーズ選挙区選出の庶民院議員を務め、その後ブリストル選挙区に鞍替え。以後も再選を重ねましたが、1774年の総選挙ではセント・モーズ選挙区に戻ることを余儀なくされました。1784年に引退するまで、同選挙区の代表として議員を務めました。

フレデリック・ルイスとの関係

時の国王ジョージ2世の長男、プリンス・オブ・ウェールズのフレデリック・ルイスは、父王とは政敵の関係にありました。フレデリックは議会への影響力を強めるため、ニュージェントが所有するコーンウォールのセント・モーズ選挙区に接近。ニュージェントは1747年にフレデリック・ルイスの王室監査官に任命され、フレデリックから多額の借金を重ねますが、それは後にジョージ3世によって領地、年金、爵位の形で償還されることになります。

官僚としてのキャリア

1751年にフレデリック・ルイスが死去すると、ニュージェントはヘンリー・ペラム政府と和解し、大蔵卿委員に任命され、1759年まで務めました。その後も、アイルランド副大蔵卿や商務委員会第一卿などの要職を歴任し、1766年にはアイルランド貴族のニュージェント男爵とクレア子爵に叙され、1776年にはニュージェント伯爵に叙されました。

引退と晩年

1784年に小ピットとチャールズ・ジェームズ・フォックスの和解を仲介しようと試みましたが失敗。同年、政界から引退し、1788年10月13日にダブリンで死去しました。

家族と結婚

ロバート・クラッグス＝ニュージェントは生涯で3度の結婚をしています。

1730年、エミリア・プランケットと結婚。1男をもうけるも、エミリアは出産中に死去。
1737年、アン・クラッグスと結婚。アンは多額の財産を相続しており、ニュージェントはこれによりゴスフィールドの領地やセント・モーズ選挙区の議員職などを得ましたが、夫婦仲は良好ではなかったようです。
* 1757年、エリザベス・ドラックスと結婚。エリザベスとの結婚でも多額の財産を得ましたが、やはり結婚生活は幸福とは言えませんでした。

エリザベスとの間には2女をもうけましたが、次女ルイーサはニュージェントの娘ではないという説もあります。

文化的な側面と評価

ニュージェントは詩人としても知られ、彼の作品はロバート・ドズリーの『Collections』（1748年）で一部が発表されました。

彼は、生まれた時点では比較的少ない財産しか持っていませんでしたが、3度の結婚を通じて財を成し、最終的には百万長者の一人となりました。このことから、彼の名前をもじった「ニュージェンタイズ」（Nugentize）という言葉が生まれ、裕福な未亡人と結婚して出世する人々を指す言葉として使われるほどでした。

ロバート・クラッグス＝ニュージェントは、政治家、詩人としてだけでなく、その独特な財産の築き方でも後世に名を残す人物と言えるでしょう。

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