ロバート・パーカー

ロバート・パーカーJr.: ワインの世界に革命を起こした男

ロバート・M・パーカーJr. (1947年生まれ) は、アメリカ合衆国のワイン評論家として世界的な名声を博しました。彼の影響力は計り知れず、ワイン業界に革命をもたらしたと言っても過言ではありません。メリーランド州ボルチモア出身の彼は、メリーランド大学で歴史と美術史を学んだ後、法科大学院を卒業し弁護士としてキャリアをスタートさせました。しかし、彼の運命はワインによって大きく変わることになります。

ワイン評論家としてのキャリア

1975年からワインに関する記事を執筆し始め、1978年には自身のニュースレター『The Baltimore-Washington Wine Advocate』(後に『The Wine Advocate』と改名) を創刊しました。このニュースレターは、広告を一切掲載せず、純粋に消費者の視点からのワイン評価を掲載していたことが特徴です。これが、他のワイン雑誌とは一線を画す存在感を確立する要因となりました。

パーカーの評価方法は、ワインに100点満点で採点する「パーカーポイント (PP)」として知られています。この採点は、味わいと香り、熟成の可能性、外観といった複数の要素を総合的に評価したもので、ブランド名に左右されることなく、あくまでワインそのものの品質を評価する点に革新性がありました。

パーカーポイントの衝撃と影響

1982年、ボルドー赤ワインのプリムール・テイスティングにおいて、他の批評家が長期熟成は望めないとした中、パーカーは「世紀のヴィンテージ」と宣言しました。この大胆な評価は、アメリカ市場のみならずフランスでも大きな反響を呼び、パーカーポイントは瞬く間にワイン業界で最も重要な指標となりました。

パーカーポイントは、ワインの価格に大きな影響を与える力を持っています。そのため、高得点を得たワインは価格が急騰することが珍しくありません。一方で、十数ドルのデイリーワインが高得点を得ることもあり、価格の高騰が消費者にとって必ずしも良いことではないという批判も存在します。

パーカーの評価基準は、フレッシュな果実味や濃い味わいを重視する傾向があり、長期熟成に向いたタンニンが強いワインや繊細なワインは低く評価される傾向があると言われています。このため、ワインの味わいがパーカー好みに均一化されることを懸念する声も上がっています。

日本におけるパーカーポイント

日本では、アーネスト・シンガーの甲州ワインプロジェクトが作った「甲州キュヴェ・ドゥニ・ドュブルデュー2004年」が、日本産ワイン、そしてアジア産ワインとして初めてパーカーポイントを獲得しました。その後も、北海道の山崎ワイナリーなど、いくつかのワイナリーがパーカーポイントを獲得し、日本ワインの国際的な評価向上に貢献しました。

まとめ

ロバート・パーカーJr.は、広告に頼らず、消費者の立場を重視したワイン評価で、ワイン業界に革命を起こしました。パーカーポイントは、ワイン選びの重要な指標として現在も広く利用されていますが、その影響力ゆえに、ワインの味わいの均一化や価格の高騰といった問題も指摘されています。彼の功績と批判を理解することは、ワインをより深く楽しむために不可欠です。彼の評価はあくまで個人的な見解であることを理解した上で、ワインの世界に触れてみてください。

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