ロバート・モリソン (植物学者)

ロバート・モリソン（1620年 - 1683年）は、スコットランド生まれの植物学者、分類学者であり、イギリスにおける植物分類学の発展に大きく貢献した人物です。

生涯

モリソンはアバディーンで生まれ、幼少期から優れた才能を発揮しました。18歳でアバディーン大学を卒業後、イングランド内戦に王党派として参加しますが、1639年のディー橋の戦いで負傷し、フランスへと亡命しました。

1648年、フランスのアンジェ大学で医学博士号を取得した後、植物学の研究に専念するようになります。パリでは王室庭園の園芸家ヴェスパシアン・ロバンの指導を受け、オルレアン公ガストンに紹介されました。ロバンの推薦により、ブロワの王立庭園の園長に任命され、10年間その職を務めました。

1660年のイギリス王政復古に伴い帰国すると、チャールズ2世の侍医に任命され、すべての王立庭園を監督する立場となりました。1669年には、初代ダンビー伯の基金により設立されたオックスフォード大学初の植物学教授に就任し、1683年までその職を務めました。

植物分類学への貢献

モリソンは、オックスフォード大学教授時代に発表した著書『Praeludia Botanica』（1669年）で、植物の果実構造に基づく分類法を提唱しました。これは、従来の生息地や薬効による分類法を批判するもので、当時の植物学者たちの反発を招きました。

1672年の著書『Plantarum Umbelliferarum Distributio Nova』では、セリ科植物に焦点を当て、自らの分類法を詳細に解説しました。この研究は、単一グループとしてのセリ科に関する包括的な論文として評価されています。モリソンの分類学的な業績は、ジョン・レイらの植物学者に引き継がれ、イギリスにおける植物分類学の発展を大きく加速させることとなりました。

晩年と遺産

モリソンは1683年、道路で荷馬車との事故により不慮の死を遂げました。彼の主著である『Historia Plantarum Universalis Oxoniensis』は未完のままとなりましたが、第2巻以降はジェーコブ・ボバートによって出版されました。

モリソンの業績は、植物分類学の発展において重要な一歩であり、その影響は後世の植物学者たちに受け継がれています。

著作

Praeludia Botanica (1669)
Plantarum Umbelliferarum Distributio Nova, per Tabulas Cognationis et Affinitatis, ex Libra Naturae observata et detecta (1672)
* Historia Plantarum Universalis Oxoniensis (Vol. 1, 1680)

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