ロバート・レッドフィールド

ロバート・レッドフィールド: 社会人類学のパイオニア

ロバート・レッドフィールド（Robert Redfield、1897年～1958年）は、アメリカ合衆国で活躍した社会人類学者であり、特にメキシコの民俗社会についての研究で知られています。彼の業績は、都市文明と接触した際の民俗社会の文化変容に焦点を当てており、独自の観点から都市を分類する比較都市論を展開しました。

経歴

レッドフィールドは1897年にシカゴに生まれました。彼は1920年にシカゴ大学を卒業し、文学士号を取得した後、翌年には法学部で学びました。第一次世界大戦中は兵役を果たし、戦後にはしばらく弁護士として働きました。しかし、彼の真の関心は人類学にあり、1923年に妻のマーガレットとともにメキシコへ渡り、メキシコの著名な人類学者マヌエル・ガミオと出会います。

1924年にはシカゴ大学に再入学し、シシリー人やメキシコ人の研究を開始。コミュニケーション学部の卒業後は法学博士号と文化人類学の博士号を取得し、1927年から教職に就きました。レッドフィールドはメキシコの地域社会での調査結果を発表し、1950年にはアメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選出されています。彼の著作『原始世界とその変容』（1953年）や『農民社会と文化』（1956年）は、専門的な分野における彼の広範な洞察を示しています。

研究と思想

レッドフィールドの研究の核心にあるのは、文化変容に関連する都市の役割とその思想です。彼は、同系的文化変容を促進する都市と異系的文化変容の都市の違いに注目し、これに基づいて都市を分類しました。その結果、彼は文化の相互作用を理解する重要性を強調しました。

1955年、彼はラテンアメリカでの農民調査を通じて、初めて人々を孤立した文化単位として扱う考え方に疑問を呈しました。彼の発見によると、村の文化は孤立したものではなく、貿易やその他の要因によって国家と結びついていることが分かりました。このように、彼は村の文化を「民俗社会（Folk Society）」と呼び、コミュニティの相互関係を重視する研究方法論を提唱しました。

教育と影響

彼の教え子には、後にSF作家として名を馳せるカート・ヴォネガットもおり、彼は「最大の満足を与えてくれた教師」と語っています。レッドフィールドの学際的アプローチは単に人類学に留まらず、考古学や言語学、身体人類学など多様な分野と繋がる要素を持ち、幅広い知見を得ることを目指しました。1955年にはトーマス・ハックスリー記念賞を受賞し、その業績が高く評価されました。

レッドフィールドの遺産

2000年以降も、彼の著作や方法論は多くの社会人類学者に影響を与えています。彼の研究は、文化変容の理解に新たな視点を提供し、後続の研究者たちが文化と文明の関係をさらに探究する上で重要な基盤となっています。日本の社会人類学者である鶴見俊輔もレッドフィールドの影響を評価し、その重要性を述べています。彼の成果は時代を超えた価値を持ち、現在でも多くの人々に学びやインスピレーションを与え続けているのです。

もう一度検索