ロベール・ギラン

ロベール・ギランについて

ロベール・ギラン（1908年9月4日 - 1998年12月29日）は、フランス出身のジャーナリストであり、特にアジア情勢、とりわけ日本に関する深い理解を持つことで知られています。彼は、第二次世界大戦の影響下にあった日本で特派員として活動し、戦後はアジア関連の数々の著作を残しました。

経歴

ギランはパリで生まれ、大学を卒業後、1934年にフランス通信社であるアヴァス（後のAFP）に入社しました。最初は本社で勤務しましたが、その後ロンドンに特派員として派遣され、1937年には日中戦争の最中に上海に赴任しました。1938年に東京特派員として日本に来たギランは、戦時下の日本で活発に報道を続けました。

1940年、フランスがナチス・ドイツに占領されると、ギランも親ドイツのヴィシー政権下で特派員活動を続けました。彼は「友好国の特派員」として日本に留まり、1941年12月の連合国との戦争状態に突入後も報道活動を続行しました。しかし、1944年8月に連合国軍がフランスを解放すると、状況は変化し、日本政府によって長野県の軽井沢に拘束されることになります。

アジア通の名声

戦後、ギランは広島や長崎の原爆投下後の状況や、GHQによる新たな政党活動に関するレポートを行いました。彼は数回フランスに戻った後、再度日本に戻り、ル・モンド紙の特派員として活動を続けました。また、日本人女性と結婚し、日本拠点での活動は続き、インドシナ戦争やベトナム戦争、文化大革命の取材に携わり、アジア関連の著作を数多く発表しました。

彼の著書には、1947年に出版された「La Guerre au Japon」があり、日本や日本人に対する否定的な描写が含まれていました。この著作は、戦後の日本に対する偏見を広める一因となったとされ、他の知識人から批判を浴びました。

日本史との関わり

ギランは、第二次世界大戦前から戦後にかけて、日本の歴史的事件に関与していました。特に有名なのが「ゾルゲ事件」で、彼は事件の関係者と共に事情聴取を受けていたことがあります。ギランは、ゾルゲや他の諜報員について高く評価しながらも、彼らの活動には関与しなかったと述べています。また、戦後の政治状況にも影響を与え、政治犯の解放に貢献するために動いたこともありました。

最晩年

晩年は日仏間を行き来しながら執筆を続け、1998年にパリの病院で亡くなりました。彼の功績を称え、日仏記者会はジャーナリストに対する賞を「ロベール・ギラン賞」と改名しました。多くの著書を通じて、ギランはアジア、特に日本に関する理解を深め、戦後の歴史に重要な影響を与えたジャーナリストとして記憶されています。彼の業績は、今なお多くの人々に読まれ、アジアの出来事に対する見識を広める一助となっています。

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