ロマゾフィー協会事件

ロマゾフィー協会事件とは

ロマゾフィー協会事件とは、2010年に表面化した、霊能団体・新宗教団体を自称していた「ロマゾフィー協会」による一連の事件です。代表夫妻による信者への暴行、脅迫、金銭搾取など、その実態は社会に大きな衝撃を与えました。

沿革

ロマゾフィー協会は2002年に設立されました。代表は、ルドルフ・シュタイナーのアントロポゾフィーを基礎に発展させた「想智学」をロマゾフィーと称していました。代表は幼少期から霊の存在を認識していたと主張し、武蔵大学卒業後、会社員を経て1995年から本格的な修行に入ったと述べています。全身麻酔の手術が霊的覚醒のきっかけになったとも語っています。

2000年には元OLと結婚し、自らを代表、妻を副代表として協会を設立。設立後は、各地で霊能・除霊などの研究・啓蒙・普及活動と称する活動を展開しました。

2009年頃から、代表は「ミニスカは霊的に正しい力がある」「ミニスカの着用で地震が減る」と主張し始め、女性信者にミニスカートを着用させるようになりました。その独特な服装の信者たちが頻繁に出入りする代表夫妻宅は、近隣住民から奇異の目で見られていました。

事件の発覚

2010年9月、会員の女性に対する傷害容疑で、代表夫妻が逮捕されました。被害女性は2007年に入会し、2009年10月からは夫妻宅に住み込み、家事を行っていました。しかし、同年11月頃から、夫妻は女性の家事がいい加減だとして、日常的に暴力を振るうようになったのです。

2011年4月には、50cmの木の棒で女性の腰や尻を4時間にわたり、数十回も殴打。全治2週間の怪我を負った女性は、ついに夫妻宅を脱出し、警察に駆け込みました。これにより、事件が明るみに出ることとなりました。

代表は当初、暴行は妻がやったことだと主張。妻は「尻に活を入れた」「しつけ」などと弁明しましたが、後に代表も暴行に加わっていたことを認めました。

事件の真相

逮捕と前後して、「ロマゾフィー協会被害者の会」が結成され、夫妻が暴力と脅迫で信者を支配する協会の実態が次々と明らかになっていきました。最初の逮捕容疑に加え、脱会した元信者から返金を迫られ、男性幹部から計1357万円を脅し取って返金に充当していた事例や、女性会員に暴行を加え、当時の勤務先を退職させ、家事に専念するよう強要した事例も発覚しました。信者の証言によれば、暴行には夫妻の子供も加わっていたといいます。また、霊視や除霊ができるという代表の主張も、全て嘘であることが判明しました。

裁判とその後

2011年3月、東京地裁は代表に懲役4年6月、妻に3年6月の実刑判決を言い渡しました。この事件をめぐっては、以前協会に籍を置いていた声優が一時活動を自粛したり、代表の著書を出版していた出版社が著書の販売を取りやめるなど、副次的な影響も出ました。

事件後、ロマゾフィー協会は閉鎖されました。しかし、この事件は、新興宗教団体の欺瞞性や危険性を改めて社会に認識させる出来事となりました。

参考文献

平岩浩二『霊的覚醒への道—ロマゾフィー 21世紀のシュタイナー的探求』

外部リンク

ロマゾフィー協会 - 閉鎖。（2010年9月18日時点のアーカイブ）

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