ロマンシング サガ -ミンストレルソング-

ロマンシング サガ -ミンストレルソング-：PS2最後のロマサガ、そして新たな旅立ち

2005年4月21日、スクウェア・エニックスよりPlayStation 2向けに発売された『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』は、1992年にスーパーファミコンで発売された『ロマンシング サ・ガ』のリメイク作品です。シリーズにおけるPS2最後のタイトルとして、多くのファンに愛され続けてきました。副題の『ミンストレルソング』は「吟遊詩人の歌」を意味し、ゲーム内の詩的な演出や、主題歌を担当した山崎まさよしのイメージが反映されています。北米では、リメイク元の旧作が発売されていなかったため、本作の英語版が『Romancing SaGa』としてリリースされました。

そして2022年12月1日、HDリマスター版『Romancing SaGa -Minstrel Song- Remastered』がPlayStation 5|PlayStation_5、PlayStation 4|PlayStation_4、Nintendo Switch、iOS、Android、PC向けに発売。現代の技術で蘇った名作は、新たな世代のプレイヤーにもその魅力を届けています。

多彩な冒険：フリーシナリオシステムと個性豊かなキャラクターたち

本作は、前作『ロマンシング サ・ガ』と同様に、プレイヤーが自由に物語を進めていくことができるフリーシナリオシステムを採用しています。8人の主人公から一人を選び、それぞれの異なる出発点から冒険が始まります。オープニングイベント後、主人公は自由に各地を探索し、様々なイベントをこなすことで物語が展開していきます。最大5人の仲間キャラクターを選択でき、中には無名のキャラクターを仲間にすることも可能です。物語の進行度は戦闘回数によって決まり、原作の特徴を踏襲したシステムとなっています。

ゲームをより分かりやすくするために、各地の町では「ギユウ軍」の子供たちがゲームシステムについて説明してくれます。また、戦闘中では「閃き」などの新要素が発生した際に丁寧に解説が入るため、初めてプレイする人でも安心してゲームを楽しむことができます。さらに、シナリオ進行度と連動したFAQメッセージを利用することで、物語の進捗状況を間接的に確認することも可能です。

クリアデータを引き継いでプレイできる周回要素も魅力の一つ。2周目以降でしか発生しないイベントや、周回を跨いで状況が引き継がれるイベント、要素が存在し、すべてのイベントを体験するには3周以上の周回が必要となるでしょう。すべてのキャラクターのエンディングとフリートークを見るには、全キャラクターをクリア（最低8周）する必要があるなど、やり込み要素も満載です。

戦略性と奥深さ：戦闘システムと進化した閃きシステム

戦闘はシンボルエンカウント方式で、敵との接触方法がフォーメーションなどに影響します。複数の敵シンボルと連続で戦闘するチェーンバトルも発生。戦闘開始前に、全キャラクターの行動コマンドを入力し、順番を決定します。本作では、コマンド入力ミスを防ぐための工夫が凝らされ、全てのキャラクターのコマンドを入力した後でも、「バトル開始」を選択するまで最終入力を取り消すことができます。

キャラクターのパラメータは、戦闘終了後に少しずつ成長。戦闘時の行動によって成長傾向が決まり、キャラクターごとに成長しやすさが異なりますが、成長確率がゼロのパラメータはありません。HP、BP、LPといった基本的なパラメータに加え、腕力、体力、器用さ、素早さ、知力、精神、愛、魅力など、多彩なパラメータがキャラクターの能力に影響を与えます。武器の耐久力を表すEPや、物理防御、術法防御なども重要な要素です。また、防具は頭、身体、腕、足、ネックレス、リング、盾といった部位ごとに装備でき、それぞれに異なる効果があります。

武器による攻撃では、シリーズおなじみの閃きシステムを採用。戦闘中に新しい技をその場で習得し、以後使用可能となります。武器のスキルレベルやモードを調整することで、技の習得確率を上げることも可能です。習得した技は、武器を変更しても失われることはありませんが、キャラクターごとに個別で覚える必要があります。技には攻撃、防御、トリックの3つのモードがあり、使用者と対象のモードによって相性が変化する三すくみのシステムが採用されています。

連携と陣：仲間との連携と戦略的なフォーメーション

キャラクターの行動順によって連携攻撃が発生し、ダメージが増加します。連携には人数だけでなく攻撃方法も関係しており、条件によっては連携できない組み合わせも存在します。特定のフォーメーションで連携を発動させることで、「挟撃陣」「白馬陣」など、様々な効果を持つ陣が発生し、敵に大きなダメージを与えることができます。

資源管理：金とジュエル、そしてスキル

ゲーム内通貨は、「金」と「ジュエル」の2種類。金は戦闘やアイテム売却などで入手し、通常の買い物に使われます。ジュエルは戦闘やマップアビリティの使用、宝箱発見などで入手し、スキルの購入に使われます。旧作と違い、金とジュエルは用途の異なる完全な別物となっています。

スキルは、刀スキル、光術法スキルなど、技能ごとにレベルが設定されています。スキルレベルが上がると、技のBP・LP消費が減ったり、マップアビリティの性能が向上したり、新たなクラスに就けたりといった様々な恩恵があります。スキルはクラスごとにまとめて購入する必要があり、特定のスキルを単独で購入できるようになるには、ある条件をクリアする必要があります。また、スキルを修得できる町はそれぞれ限定されています。

クラスとマップアビリティ：多様な能力と戦略的な探索

一定のスキルレベル条件を満たすことで、「海賊」「ローザリア重装兵」などのクラスに就くことができます。クラスに就くことで、クラス特性と呼ばれる特殊能力が得られ、戦闘を有利に進めることができます。

3Dになったフィールドには、様々な仕掛けが用意されています。これらの仕掛けに対応するマップアビリティは、修練所で金を支払うことで修得できます。マップアビリティは、サーチ、発掘、マニピュレーション、サバイバル、隠密、交渉といった種類があり、それぞれにいくつかの種類が存在します。マップアビリティの使用回数はスキルレベルに影響されます。

アイテムとショップ、そして鍛冶屋：充実したアイテムシステム

ゲーム内には、様々なアイテムが登場します。商店は「水晶商会」「青竜堂」「大洋商店」の3社に分かれており、それぞれのブランドレベルが設定されています。ショップレベルを上げることで、アイテムの売り切れが少なくなったり、未発売のアイテムが店頭に並んだりといった効果があります。

薬草を入手することで、薬局で薬の調合を行い、回復アイテムを作成できます。調合レベルが高くなると、より高度なアイテムを精製可能になります。鍛冶屋では武器や防具の補強や強化ができます。補強は鉱石や素材を武具に取り付けることで性能を変化させ、強化は武具の性能バランスを調整します。

個性豊かなキャラクターたち：主人公と仲間たち

本作には8人の主人公がおり、それぞれに異なる背景と個性を持っています。アルベルト、アイシャ、ジャミル、クローディア、ホーク、シフ、グレイ、バーバラ。それぞれに固有の物語とイベントが用意されています。

主人公以外にも、多くの魅力的な仲間キャラクターが登場します。吟遊詩人、ナイトハルト、ディアナ、ダウド、シルベン、ブラウ、ジャン、パトリック、ゲラ=ハ、ガラハド、ミリアム、エルマン、ダーク、アルドラ、テオドール、ラファエル、フリーレ、竜騎士、ファラ、海賊シルバー、赤魔道士など、個性豊かなキャラクターたちが冒険を彩ります。

さらに、フェル6世、コルネリオ、ネビル、モニカ、オウル、ハインリヒ、コンスタンツ、フラーマ、ウハンジ、トゥマン、ブッチャー、ウェイ=クビン、ガト、ニザム、マリーン、シェリルといった、物語に深く関わってくる重要人物たちも登場します。そして、サルーイン、デス、シェラハといった三邪神や、四天王、ミニオンといった強力な敵たちも待ち受けています。

開発秘話：過去作からの継承と新たな挑戦

本作は、過去シリーズからの要素を多く取り入れながらも、3Dグラフィックや新しいシステム、追加・変更されたイベントなど、多くの部分が新規に開発されています。開発スタッフは、過去シリーズのシステムを踏襲しつつ、新たなプレイヤーにも親しみやすいように改良を加えるという、大きな課題に挑みました。ラスボスであるサルーインの調整には、多くの時間と工夫が費やされ、プレイヤーにとってやりがいのある、そして挑戦しがいのある戦闘となっています。

リマスター版：新たな魅力と進化

リマスター版では、マップアビリティの使い勝手の向上、ゲームスピードの調整、そして新たなストーリー要素や仲間キャラクターの追加など、多くの改善が加えられています。オリジナル版では使いにくかったマップアビリティは、LPを消費する形でアビリティを切り替えるシステムが導入され、ゲームスピードはオプションで変更できるようになっています。また、アルドラやフラーマ、シェリル、モニカ、マリーンが仲間に加わったことで、さらに奥深い冒険が楽しめます。

『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』は、シリーズファンはもちろん、初めてロマサガに触れるプレイヤーにとっても、忘れられない冒険体験を提供してくれる作品です。

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