ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ

映画『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』

『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』は、2018年に公開された中国とフランスの合作映画で、監督はビー・ガンです。この作品は、父の死をきっかけに12年ぶりに故郷に帰る主人公の心の旅路を描いており、夢と現実が交錯する幻想的な演出が特徴的です。特に、3Dバージョンでは、途中で2Dから3Dに切り替わり、後半は60分間の連続した3Dショットが展開される斬新な技法が用いられています。

ストーリー概要

映画の主人公ルオ・ホンウは、父の死去に伴い、凱里という故郷へ帰郷します。しかし、この地に待つのは暗い記憶の数々です。幼馴染のヤクザのヅオが関わる悲劇や、母が自身を捨てて他の男と共に去ったことなど、ルオの心には苦い思い出が残っています。それでも、彼の心を離れないのは、ワン・チーウェンという女性の存在です。

12年前、ルオはワンと出会い、彼女との関係は深く絡み合いました。しかし、大きな悲劇が彼らの運命を変えてしまいます。ワンが堕胎を選んだ後、彼女の元恋人であるヅオに二人の関係が発覚し、ルオは命の危機にさらされます。それでも彼に残されたのは、愛する女性の面影のみでした。

物語は、ルオが父の遺品から見つけた女の写真と、新たな鍵となる人物・タイ・チャオメイとの接触から始まります。ルオは刑務所に服役中のタイ・チャオメイに面会し、ワン・チーウェンの行方を尋ねますが、彼女の動向を知るための手がかりは薄いままです。タイから教えられた場所・旁海を目指すルオは、様々な冒険と出会いが待ち受ける新たな旅に繰り出します。

幻想的な旅

旁海でのルオの探索は、現実の枠を超えた幻想的な体験へと繋がります。彼はホテルでワンを探し、歌謡ショーが行われるダンマイに向かいます。そこで、彼はワンに似たカイチェンという女性と出会います。映画館での出来事が夢のような体験に変わり、彼は記憶の迷宮に迷い込みます。

ルオは自身の母を思い起こさせるイカレ女と接触し、彼女から時計を受け取ります。この出会いが、彼をさらなる夢の中へと導いていきます。カイチェンとの交流を持ちながら、彼は様々な感情を呼び覚まし、過去の思い出と向き合わせます。

結末へ

物語は、ルオとカイチェンの関係が深まる中で、彼が母の記憶や愛する人の面影と再会する過程を描写します。最終的に、彼は愛の象徴である花火と共に、かつての思い出を取り戻す運命に見舞われます。この映画は、単なる悲劇の旅だけでなく、人の心の奥深くに潜む感情や愛の力を示す作品として、多くの観客に感動を与えました。

受賞歴

本作品は、第71回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品された他、第19回東京フィルメックスでも学生審査員賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されています。

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