ロンドン・ガゼット

ロンドン・ガゼットについて

ロンドン・ガゼット（英語: The London Gazette）は、イギリス政府によって発行される公式の公報であり、日本における官報に相当する重要な存在です。1665年11月7日に「オックスフォード・ガゼット」として創刊されたこのガゼットは、イングランドで最も古い新聞として今でも発行が続けられています。ロンドン・ガゼットは、一般的なニュースを報じる従来の新聞とは異なり、特定の法定通知を公示することに特化しているため、他の古い新聞と比べ、その性質は独特です。

発行内容と目的

ロンドン・ガゼットは、イギリス全体を対象に様々な通知や情報を発信しています。特に、国内における重要なニュースや法的通知、官公庁の任命情報、軍事関連の昇進、企業や個人の破産に関する告示などが含まれています。毎週平曜日を除く平日に発行されており、これらの内容は国王の承認を受けているため、公的な信頼性があります。また、スコットランドや北アイルランドの関連通知も掲載されることがありますが、地域に特化した情報はそれぞれの官報（エディンバラ・ガゼットやベルファスト・ガゼット）で扱われています。

デジタル化と公開

近年、ロンドン・ガゼットは全号のデジタル化を進めており、オンラインでもアクセス可能です。公式には、破産通知を除いてXML形式やAtomフィードを利用して配布された機械可読形式でも情報が提供されています。これにより、より多くの人々が必要な情報を迅速に得られるようになっています。

歴史的背景

ロンドン・ガゼットの起源は、1665年にさかのぼります。当時、チャールズ2世がロンドンのペスト大流行を避けてオックスフォードに移った際、廷臣たちはロンドンで発行される新聞を手に取ることすらためらっていました。この状況を受けて、政府は新しい公報の必要性を認識し、オックスフォード・ガゼットとして初号を発行しました。しかし、ペストが収束し、王がロンドンに戻ると共に、1666年には名称をロンドン・ガゼットに改称して再び発行されました。この時点でガゼットは、一般的な読者向けに販売されるのではなく、購読契約者に郵送される形で読まれることが多くなりました。

官報掲載の意義

また、軍人の昇進や特定の出来事がロンドン・ガゼットに掲載されることを指して「官報掲載(gazetted)」と呼ぶようになりました。これは、昇進の公示や破産の通知を含む公式な情報の意味としても使われるようになっています。これに関連する言葉として「官報幸運ハンター(gazetted fortune hunter)」も生まれ、結婚や婚約の通知が掲載される際にも用いられました。

植民地とロンドン・ガゼット

イギリスの植民地でも、ロンドン・ガゼットを模倣した官報が発行されていました。これにより、各植民地での法的通知や公示情報も適切に管理されていました。

ロンドン・ガゼットは、イギリス国内における法的通知や政府発表において欠かせない役割を果たしており、その重要性は今なお変わらず、多くの人に利用されています。

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