ロンドン・リンネ協会

ロンドン・リンネ協会

ロンドン・リンネ協会（Linnean Society of London）は、イギリスのロンドンに拠点を置く、分類学や博物学に関する研究促進を目的とした学術機関です。1788年に設立された協会は、植物学や動物学に関する多くの重要な標本や文献を収蔵しており、また関連する学術誌を定期的に発行しています。特に、協会の歴史や分類学関連のレビューを扱った「The Linnean」という誌も発行しており、生物学関連の学者や研究者にとって価値ある情報源となっています。

歴史的背景

リンネ協会は、著名な植物学者であるジェームズ・エドワード・スミスによって設立されました。その名は、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネにちなんで付けられました。この協会は、現存する最古の博物学の団体として、長い歴史を持っています。1854年から協会で活動していたチャールズ・ダーウィンや彼の子フランシス・ダーウィンといった著名な研究者もこの協会のフェローとして名を馳せています。

ダーウィンとアルフレッド・ラッセル・ウォレスが協同で発表した「自然選択説に基づく進化論」が、1858年のリンネ協会の会合で初めて発表されたことは、科学史上の重要な出来事の一つとして知られています。また、初の女性会長であったアイリーン・マントン（1973-1976年在職）は、電子顕微鏡の生物学的利用の先駆者としても有名です。

会員制度

リンネ協会の本部はロンドンのバーリントンハウスにあります。この協会に入会するためには、少なくとも2名のフェローによる推薦を受け、その後投票を経て選出されなければなりません。フェローはその名前の後に「FLS」という称号を付けることができ、プロ・アマ問わずさまざまな生物学的興味を持つ人々が参加できるようになっています。

表彰制度

リンネ協会は、進化、分類、生物多様性、持続可能性を焦点にした研究活動を奨励するために、様々なメダルや賞を授与しています。中でもリンネ・メダル、ダーウィン＝ウォレス・メダル、ブルーマー賞、トレイル・クリスプ賞などがあり、それぞれのメダルは特定の研究分野や貢献に対して授与されます。特に、リンネ・ゴールドメダルは協会への大きな貢献を讃える最高の栄誉とされています。

所蔵コレクション

リンネ協会には、カール・フォン・リンネに関する重要な植物学および動物学のコレクションがあります。初代会長スミスによって購入されたこのコレクションには、14,000の植物、158種の魚類、3,198種の昆虫、1,600冊の書籍、3,000通の手紙などが含まれています。現在も特別な予約を通じて、これらの標本や文献を閲覧できます。

出版活動

リンネ協会が発行しているジャーナルには、「Biological Journal of the Linnean Society」、「Botanical Journal of the Linnean Society」、「Zoological Journal of the Linnean Society」などがあります。これらのジャーナルは、それぞれ生物学、植物科学、動物系統と進化に焦点を当てた内容になっており、研究者たちにとって重要な発表媒体となっています。また、「The Linnean」というニュースレターでは、協会の最近の活動や歴史、科学に関する記事などが掲載されています。

結論

ロンドン・リンネ協会は、長い歴史と豊富なコレクションを持つ学術機関として、生物学や博物学の分野での重要な研究を支える役割を果たしてきました。これからも、科学界における貢献を受け継ぎながら、さらなる発展を期待される団体です。

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