ロンドン大学衛生熱帯医学大学院

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院：世界をリードする公衆衛生と感染症研究の拠点

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院（LSHTM）は、公衆衛生と感染症に関する研究において世界的な名声を誇る高等教育機関です。1899年、インドの実業家Bomanjee Dinshaw Petitからの寄付を基に、マラリア研究の第一人者であるパトリック・マンソンによって創立されました。以来、感染症の予防や治療、公衆衛生政策の向上に大きく貢献し、世界保健機関（WHO）をはじめとする国際機関とも密接に連携しています。

世界トップクラスの研究力と教育

LSHTMは、ハーバード大学やジョンズ・ホプキンズ大学と並ぶ、世界屈指の公衆衛生と感染症研究機関として広く認められています。US NewsのBest Global Universities RankingsやARWU Rankingなどの世界大学ランキングにおいて、公衆衛生や社会医学分野で常に上位にランクインしており、イギリス国内では常にトップの座を維持しています。

LSHTMは学部課程を持たず、修士課程と博士課程のみを提供しています。この専門性の高さから、QSランキングなどの一般的な大学ランキングには掲載されていませんが、その教育と研究の質は世界的に高く評価されています。

歴史と伝統、そして革新

LSHTMのエンブレムには、古代ギリシャの医神アポロンと狩猟の女神アルテミス、そしてアスクレピオスの杖が描かれています。ナツメヤシは、熱帯医学研究の起源を示すと同時に、アポロン神話の象徴でもあります。このエンブレムは、LSHTMの歴史と伝統、そして熱帯医学への深い関わりを象徴しています。

多様な学科と世界的な研究ネットワーク

LSHTMは、疫学・集団健康、感染症・熱帯医学、公衆衛生政策など、幅広い分野を網羅した学科を擁しています。各分野で世界をリードする研究者たちが集まり、最先端の研究活動を行っています。

著名な教授陣には、2008年に第1回野口英世アフリカ賞を受賞したブライアン・グリーンウッド氏も含まれています。また、LSHTMは世界中の大学や研究機関との連携を強化しており、グローバルな研究ネットワークを構築しています。

国際協調と社会貢献

LSHTMは、国際協調を通じて世界中の公衆衛生向上に貢献しています。例えば、長崎大学とのパートナーシップを通じて、熱帯医学に関する研究や人材育成に取り組んでいます。2015年に創設された長崎大学熱帯医学グローバルヘルス研究科には、LSHTMの教授が2名赴任しており、共同研究や教育プログラムを展開しています。

また、2019年には武田薬品工業から300万ポンド（約4億円）の寄付を受け、「Takeda Chair in Global Child Health」という教授職を創設しました。これはLSHTMにおいて初の企業による全面的支援による寄付講座であり、中低所得国における子どもの死亡率削減を目指した研究活動が推進されています。

将来への展望

LSHTMは、今後も公衆衛生と感染症研究における世界的なリーダーとして、革新的な研究と教育を通じて、世界中の健康問題解決に貢献していくでしょう。COVID-19のような新たな感染症への対応や、気候変動などのグローバルな課題への取り組みにおいて、LSHTMの役割はますます重要になっています。

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