ロンドン特別区

ロンドン特別区：首都を支える32の自治体

ロンドン特別区は、イギリスの首都ロンドンを構成する32の地方自治体です。1965年、グレーター・ロンドン（大ロンドン）設立と同時に、1963年ロンドン政府法に基づき設置されました。それぞれがロンドン特別区議会によって運営され、市民生活を支える様々な行政サービスを提供しています。

インナー・ロンドンとアウター・ロンドン

地理的には、シティ・オブ・ロンドンとその周辺12区がインナー・ロンドン、残りの20区がアウター・ロンドンを形成しています。インナー・ロンドンはアウター・ロンドンに比べて人口密度が高く、区の規模も小さい傾向があります。1960年代以降、インナー・ロンドンのいくつかの区では人口減少が問題となっています。各区の人口はおよそ15万人から30万人です。

区議会の役割と選挙

各特別区議会は、住民にとって身近な行政サービスの大部分を担っています。大ロンドン全域を管轄する大ロンドン庁とは異なり、より具体的な地域ニーズへの対応に重点を置いています。各区は複数の選挙区に分割され、4年ごとに選挙が行われます。選挙で選ばれた議員たちは、区の政策決定に関わります。主要な政党は保守党、労働党、自由民主党です。区長が直接選挙で選ばれる区もあります。

歴史：複雑な行政構造からの改革

1960年代以前、ロンドン地域は複数の地方自治体によって複雑に運営されていました。複数の自治体がそれぞれ異なる権限を持ち、サービス提供の重複や非効率が課題となっていました。これを解消するため、1950年代後半から大ロンドンの地方行政改革が進められました。1960年の報告書では当初52の特別区が提案されましたが、最終的には32区に決定し、1965年4月1日に現在のロンドン特別区が誕生しました。

グレーター・ロンドン・カウンシルとグレーター・ロンドン・オーソリティー

1965年から1986年までは、二層構造の行政組織が採用されていました。ロンドン特別区議会とグレーター・ロンドン・カウンシル（GLC）が権限を共有していました。GLCは広域サービス、特別区議会はより具体的な地域サービスを担当する役割分担でした。1986年にGLCが廃止された後、一部の権限は特別区議会に移譲されました。2000年には、戦略的な役割を担うグレーター・ロンドン・オーソリティー（GLA）が設立されました。

特別区の名称

ロンドン特別区の名称に「London Borough」を含まない区が4つあります。シティ・オブ・ウェストミンスターと、王室特別区であるキングストン・アポン・テムズ、ケンジントン・アンド・チェルシー、グリニッジです。これらの区も独自の議会を持ち、それぞれの地域社会を運営しています。

まとめ

ロンドン特別区は、首都ロンドンの基盤となる32の地方自治体です。それぞれの区が独自の議会を持ち、住民にとって身近な行政サービスを提供することで、多様なニーズに応える体制が構築されています。歴史的な経緯や、大ロンドン庁、そしてロンドン市長との関係性も理解することで、ロンドンの行政システムをより深く理解することができます。今後、人口動態の変化や社会情勢の変化に対応しながら、ロンドン特別区の役割はますます重要になっていくでしょう。

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