ローズ・ガーデン (リン・アンダーソンの曲)

ローズ・ガーデン

「ローズ・ガーデン」（Rose garden）は、1969年にアメリカのシンガーソングライター、ジョー・サウスによって書かれ、発表された楽曲です。後にカントリー・ミュージックのスタンダード・ナンバーとして広く知られるようになりますが、その名声を確立したのは、カントリー歌手のリン・アンダーソンによるカバーバージョンでした。

原曲と作者

作者であるジョー・サウスは、自身のセカンドアルバム『Introspect』（1968年）にこの曲を初めて収録しました。発表後、フレディ・ウェラーやビリー・ジョー・ロイヤルといった他のアーティストもこの曲を録音しましたが、当時はまだ大きなヒットには至っていませんでした。

リン・アンダーソンによる大成功

「ローズ・ガーデン」が爆発的なヒットを記録するのは、リン・アンダーソンの手に渡ってからです。1969年当時、彼女はチャート・レコードに所属していましたが、レコード制作者のグレン・サットンと結婚。これを機に、より大きなレコード会社であるコロンビア・レコードへ移籍します。この移籍後第一弾としてリリースされたシングルが「ローズ・ガーデン」でした。興味深いことに、夫でありプロデューサーでもあったグレン・サットンは、当初この曲のシングルとしてのリリースに乗り気ではなかったと言われています。しかし、当時コロンビア・レコードの社長だったクライヴ・デイヴィスがこの曲を気に入り、強力にプッシュした結果、シングルとして世に出ることが決定しました。この決定が、彼女のキャリアを決定づける成功へと繋がります。

リン・アンダーソンの歌う「ローズ・ガーデン」は、リリースされるやいなや、瞬く間に全米のチャートを駆け上がりました。総合チャートであるBillboard Hot 100では最高位3位を記録し、カントリーチャートでは4週連続で第1位を獲得するという圧倒的な成功を収めました。このシングルのヒットはアルバムにも波及し、同名のアルバムもゴールドディスクを獲得するベストセラーとなりました。また、アメリカ国内にとどまらず、イギリスでもチャート3位を記録するなど、その人気は海を越え世界的なものとなりました。この一連の成功により、「ローズ・ガーデン」はリン・アンダーソンのキャリア史上最大のヒット曲となり、彼女をカントリー界のスターダムへと押し上げました。その功績が称えられ、1971年度のカントリー音楽協会賞（CMA Awards）では最優秀女性歌唱賞を受賞しています。

リン・アンダーソンのその後の活躍

「ローズ・ガーデン」の大ヒットを足がかりに、リン・アンダーソンは1980年までコロンビア・レコードに在籍し、カントリー界の第一線で活躍を続けました。彼女は、母である著名なカントリーシンガー、リズ・アンダーソンの娘としても知られていますが、独自のスタイルと魅力でファンを獲得しました。特に、彼女の歌声はカントリーの枠を超えたポップな魅力も持ち合わせており、「ポップ・カントリー・シンガー」としても評価されました。例えば、1973年にはカーペンターズの大ヒット曲「トップ・オブ・ザ・ワールド」をカヴァーし、カントリーチャートで2位、ポップチャートでも74位にランクインさせています。1990年までに、彼女はカントリーチャートに60曲以上を送り込み、さらにポップチャートにも10曲がチャートインするなど、息の長い活躍を見せました。

スタンダードとしての広がりと主なカヴァー

リン・アンダーソンの成功以降、「ローズ・ガーデン」はカントリー・ミュージックを代表する楽曲の一つとして不動の地位を確立しました。その普遍的なテーマと美しいメロディーは、数多くのアーティストに影響を与え、多様なジャンルでカヴァーされることとなります。

主なカヴァーバージョンとしては、以下のようなものが挙げられます。

スリー・ディグリーズ（The Three Degrees）- 1970年
グレン・キャンベル（Glen Campbell）- 1971年
ロレッタ・リン（Loretta Lynn）- 1971年
アンディ・ウィリアムス（Andy Williams）- 1971年
ジョニー・マティス（Johnny Mathis）- 1971年
南沙織 - 1971年（日本語カヴァー）
* k.d.ラング＆ザ・リクラインズ（k.d. lang & The Reclines）- 1987年

これらのカヴァーは、「ローズ・ガーデン」という楽曲がいかに時代やジャンルを超えて愛され、受け継がれているかを示しています。ジョー・サウスが生み出し、リン・アンダーソンが世界に広めたこの歌は、希望を歌うメッセージと親しみやすいメロディーで、今なお多くの人々の心に響き続けています。

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