ローズ・マリー・ブロソス

ローズ・マリー・ブロソス（Rose Marie Singson Brosas、1957年 - ）は、フィリピンを代表する元ミスコン女王であり、現在はマタニティー教室の講師として活動している人物です。特に、1975年に開催されたミス・ユニバース世界大会で第5位（4th runner-up）に入賞したことで広く知られています。

生い立ちと初期の経験

1957年、フィリピンの首都圏であるマニラのマカティ市で生を受けました。バンコクにあるAssumption Convent Schoolで学生時代を過ごしました。

1974年には、フィリピンの首都マニラでミス・ユニバース世界大会が開催されました。この大会の運営にあたり、多数の市民が案内人や護衛、舞台係として関わる中で、彼女は案内役として大会を支えました。

ミスコンテストでの輝き

1975年、フィリピンを代表する美人コンテストであるビニビニン・ピリピナス（Binibining Pilipinas）に、締め切り間近で参加を決意。見事優勝を果たし、同年のミス・ユニバース世界大会にフィリピン代表として出場する権利を手に入れました。国内大会では、Miss Photogenic（フォトジェニック賞）とBest in Swimsuit（水着審査賞）も受賞し、その圧倒的な美しさと人気から、国内メディアからは「Miss Numero Uno（ナンバーワン）」と称されました。

同年7月19日、中央アメリカのエルサルバドルで開催された第24回ミス・ユニバース世界大会にフィリピン代表として出場。世界の美女が集まる舞台で、激戦の末、総合第5位（4th runner-up）という優秀な成績を収め、フィリピンに栄光をもたらしました。

歴史的な舞台での役割

ミス・ユニバースでの活躍は、彼女にさらなる機会をもたらしました。1975年10月1日、フィリピンのボクシング史に名を刻む伝説的な一戦、「スリラー・イン・マニラ」として知られるモハメド・アリ対ジョー・フレージャーの世界ヘビー級タイトルマッチにおいて、ラウンドガールという大役を務めることになりました。この起用は、当時のミス・ユニバースのフィリピン国内ディレクターであったステラ・アラネタ氏によって特別に選ばれたものでした。試合前には、伝説のボクサー、モハメド・アリが彼女に一目惚れしたという逸話も残されており、その美貌が多くの人々を魅了したことを物語っています。

その後の人生と現在の活動

世界大会での活躍後、彼女は知的好奇心を満たすためパリへ留学し、American College in Paris（当時）にて国際経営学を専攻しました。専門的な知識を深めた後、1980年にフィリピンへ帰国しました。

1983年には、フィリピン系ドイツ人の実業家、ラルフ・ハーン氏と結婚し、家庭を築きました。二人の間には娘のレジーナ・ハーン氏がおり、彼女もまた、母親と同じビニビニン・ピリピナスに出場するなど、美の系譜を受け継いでいます。

近年、彼女は人生の新たなステージに進み、マタニティー教室の講師として活動しています。過去の華やかなキャリアとは異なりますが、出産を控えた女性たちをサポートするという、人々の人生に寄り添う活動を行っています。

特徴的な衣装とフィルモグラフィ

彼女がミス・ユニバース世界大会の決勝で着用したフィリピンの民族衣装であるテルノと、その後のイブニングガウンは、実は同じデザインのものであったという興味深いエピソードがあります。特徴的なバタフライスリーブ部分を取り外すことで、エレガントなイブニングガウンへと変化させることが可能であり、この独創的な衣装は著名なデザイナー、ピトイ・モレノ氏によって手掛けられました。

また、ブロソス氏はいくつかの映像作品にも関わっています。主なものとしては、1982年の映画『Cinq et la peau』や、2013年に放映されたテレビ特番『Binibining Pilipinas 2013: The Golden Road to the Crown』（本人役として）、『Binibining Pilipinas Gold: The 2013 Pageant』（謝辞として）などがあります。

ローズ・マリー・ブロソスは、ミスコンテストでの輝かしい経歴、歴史的なスポーツイベントへの参加、そしてその後の知的な探求と家庭生活を経て、現在は人々の新たな始まりを支えるマタニティー教室の講師として活躍しており、多才で波乱に富んだ人生を送っている人物と言えるでしょう。

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