ロータス・エスプリ

エスプリ（Esprit）

エスプリは、イギリスの自動車メーカーであるロータス・カーズが手がけたスポーツカーで、1976年から2004年にかけて生産されました。全体で1万台を超える製造数を誇り、当時「スーパーカーの雛形」と称されるほどの歴史を持っています。

開発の背景

エスプリの開発は1970年に始まり、ロータスがスーパースポーツカー市場に参入するために生まれました。このプロジェクトは「プロジェクトM70」として進行し、1971年には著名なデザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロが参加し、イタルデザインが手がけることとなります。1972年に発表されたコンセプトカーは、平面ガラスを使用した独特のフォルムで大きな注目を集めました。

この頃、ロータスはジウジアーロに新たなシャシーを提供。これがエスプリへとつながる重要なステップとなりました。1975年のプロトタイプ発表後、翌年にはほぼ市販モデルに近い形でパリ・サロンで初めてお披露目され、メディアから「イギリスのスポーツカー界における新たな刺激」と称賛されました。特に『007』シリーズの映画に登場したこともあり、エスプリは一躍有名となります。

モデルの変遷

S1（1976年 - 1978年）

エスプリの初期モデルであるS1は、1976年に発売され、リリース当初は特に名称がありませんでしたが、後にシリーズとしての呼称が生まれました。ボディはアルミニウムからFRPに変更され、2ピース構造のデザインが特徴です。エンジンにはロータス自製の907型エンジンが搭載され、最高出力162PSを発揮しました。このモデルの生産は994台にとどまり、現在では非常に希少な存在となっています。

S2（1978年）

1978年にはデザインのマイナーチェンジが行われたS2が登場。外観にはフロントスポイラーやエアインテークが追加され、内装の豪華さも向上しました。また、限定車のJPSカラーが記念モデルとして登場し、人気を博しました。

ターボ（1980年）

1980年にはターボモデルが発表され、よりパワフルなエンジンが搭載されました。これにより、大幅なパフォーマンス向上が図られ、特にアメリカ市場への進出が期待されました。

S3（1981年）

1981年のS3では、さらなる進化が見られました。ノンターボエンジンを搭載し、洗練されたデザインとエンジニアリングにより、最も完成度の高いモデルとされています。

HC/ターボHC（1987年）

1987年にはHCとターボHCが発表。外観の刷新とメカニズムの改良が行われ、新しい燃料システムを取り入れました。このモデルは、ロータスの先進技術が結集された一台となりました。

スポーツ300（1992年）

1992年に発表されたスポーツ300は、IMSレーサーを基にしたモデルで、302hpを発揮するエンジンを搭載し、更なる性能向上が図られました。

V8（1996年）

1996年に登場したV8モデルは、3.5リットルV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、非常に高いパフォーマンスを誇りました。これにより、エスプリはラグジュアリーモデルとスポーツモデルとしてのシフトを進めました。

その後の展開

エスプリは数々のモデルチェンジを経て、最終的には2004年に生産が終了しました。最後のモデルは高い性能と革新性を兼ね備え、ロータスの意味ある遺産となりました。

エスプリは、ロータス・カーズの魅力を象徴する存在であり、今なお多くのカーエンスージアストに愛されています。

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