ロータス・エリーゼ

エリーゼ（Lotus Elise）

エリーゼは、イギリスのロータス・カーズによって1995年にフランクフルトモーターショーで発表され、1996年に市場に登場したオープンカー型のスポーツカーです。2004年にエスプリの生産が終了した後、エリーゼはロータスの主力モデルとしてその地位を確立しました。モデル名の「エリーゼ」の由来は、当時のロータスの株主であったブガッティの会長ロマーノ・アルティオーリの孫娘「エリーザ」とされていますが、イタリアの響きが残らないように「エリーゼ」と名付けられました。

この車両の大きな特徴は、アルミ合金製の軽量なバスタブフレームとFRP製のボディを使用したユニークな構造です。特に、アルミシャシーの組み立てには従来のリベット工法ではなく、接着剤が用いられています。これにより、剛性を維持しつつ組立精度を高めることが可能になり、シャシー単体での重量はわずか68kgに抑えられました。初期モデルではアルミ製のエンジンベイとリアハブキャリアが採用されており、ブレーキシステムには量産車としては初めてアルミディスクが使用されましたが、サプライヤーの倒産により1998年以降は鉄製に切り替えられたことから、一部のモデルでは重量が増加しました。

初代エリーゼ（1996年 - 2001年）は、エアコンやパワーステアリング、ブレーキブースターなどの装備が省略され、車両重量は690kg程度でした。しかし、2012年のモデルではこれらの安全装備が充実し、重量は900kg程度に増加しました。オープンボディ形式のエリーゼは、ミッドシップ配置のエンジンと後輪駆動を持つ2座席のクーペスタイルです。ダブルウィッシュボーンのサスペンションを採用し、キャビン後方には手動で取り外せる幌屋根か、FRP製のデタッチャブルハードトップが選択肢として提供されました。

初代モデルのバリエーション

最初のモデル群は、エリーゼ111を含む多くのバリエーションが展開され、各モデルには異なるエンジンが搭載されることとなりました。例えば、111Sは可変バルブタイミング機構を備えたエンジンを搭載し、性能が向上しました。また、モータースポーツエリーゼはレース用に特別にチューニングされ、非常に高いパフォーマンスを誇りました。

2代目モデル

2001年にはデザインが一新された2代目モデルも登場しました。エアコンのオプション装備が可能になり、トヨタ製エンジンが採用されるなどの重要な変更がありました。この世代では、エリーゼRやエリーゼSCといったモデルにより、高いパフォーマンスが追求されています。

3代目モデルと生産終了

2011年に登場した3代目モデルでは、外装デザインがさらに進化し、2017年には細部にわたるマイナーチェンジが行われました。エリーゼはその運動性能と運転の楽しさから、多くのファンを魅了し続けましたが、ロータスは2021年1月にエリーゼの生産終了を発表しました。
これにより26年の歴史が幕を下ろし、後継車両として「エミーラ」が開発されています。

エリーゼはその軽量化と卓越したハンドリング能力により、世界中のスポーツカー愛好家から名車としての評価を受け、今なおその輪郭をうかがわせる存在です。

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