ロータス・92

ロータス・92について

ロータス・92は、1983年のF1世界選手権において、チーム・ロータスが開発したフォーミュラ1カーです。この車両は、F1マシンとして初めてアクティブサスペンションを搭載したという革新的な特徴を持っています。基本的にはナイジェル・マンセルがドライブし、8レースに出場しましたが、その中でわずか1ポイントの獲得に留まるなど、成績は振るいませんでした。エリオ・デ・アンジェリスもスペアカーとして92を使用しましたが、主にルノーエンジンを搭載した92Tを使っていました。シーズンの後半には、両ドライバーがパッシブサスペンション仕様の94Tに乗り換えました。

開発の背景

92は前年の91を基に開発され、ロータスにとっては1967年以来の長い関係にあるフォード・コスワース・DFVエンジンを使用する最後のマシンとなりました。前年から他のチームがターボエンジンを搭載し始めた中、92はフォード・コスワースエンジンによる出力不足が目立ちましたが、油圧アクティブサスペンションの搭載により、独自の技術力を示しています。ただし、実戦での性能は十分に発揮されず、アクティブサスペンションはマンセルの92/10に搭載されましたが、第3戦フランスGP以降は旧来のパッシブサスペンションに変更されました。

アクティブサスペンションの試み

ロータスのエンジニアたちにとって、アクティブサスペンションは新しい概念ではありませんでした。過去にエスプリやエクセルといったロードカーの開発時に、アクティブサスペンションの試作を行った経験があったため、92にこの技術を導入することができました。

レース成績

92のレース成績は、特にマンセルにとって厳しいものでした。マンセルは8戦に参加しましたが、リタイアが4回も発生。取得したポイントは、わずか1ポイントでした。特にブラジルGPでは、デ・アンジェリスがスペアカーの92で出走しましたが、予選と決勝で異なるエンジンを用いたため規則違反となり、失格処分を受けることになりました。この事例は、レースにおける技術的な挑戦とともに、ルールの厳格な遵守が求められることを示しています。

結論

最終的に、ロータス・92は革新的な技術を持ちながらも、実際のレースでは望ましい成果が得られませんでした。このマシンは、フォーミュラ1史において重要な役割を果たしたことは間違いありませんが、技術と運用のバランスが成功に導く鍵であることを教えてくれます。92を通じて、ロータスは先進的な技術への挑戦を続け、今後の発展を期することとなりました。

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