ローデビル!

『ローデビル!』は、株式会社BLACK LIGHTより2001年 10月26日にリリースされた18禁アドベンチャーゲームです。

概要と販売経緯

本作は企画当初、アニメのような軽いタッチのラブコメディとして構想されていましたが、担当シナリオライターがそうした作風を得意としなかったため、キャラクター間の細かなやり取りよりも、性的な描写を主軸に据えたゲームへと方向転換が図られました。

発売当初は、同ブランドから先に発売されていた『きらめく瞬間』と『学校のきゃあ!』という2タイトルと共に、『ローデビル! プレミアム・ボックス』として3本セット、限定2500本での販売形態が取られました。これは、ブランドおよびソフトウェア自体の認知度向上を目的とした戦略でした。リリース後の評価は、原画やゲームシステムに関しては低評価が見られた一方で、シナリオ（テキスト）だけが特に高い評価を集めるという、独特な状況となりました。その高い評価や評判がユーザー間に広まり、単体での購入要望が寄せられた結果、後に公式サイト（OHP）での通信販売という形でソフト単体での販売も行われるに至りました。

ストーリー

物語の主人公は、自身の幼馴染である白妙和泉に異性としての好意を抱きつつも、彼女を「高嶺の花」として半ば諦めていました。主人公は和泉、そして親友である谷野孝明（やのっち）と良好な友人関係を築いていました。そんな日常の中、ある日突然、帰宅途中の主人公の目の前に一人の悪魔が空から落下してきます。アリスメンディーと名乗るその悪魔は、強引とも言える形で主人公の家に居候を始めます。人間界に「光る石」という特別な石を探しに来ていたアリスは、主人公に対して石探しへの協力を求めます。

主人公が協力に難色を示すと、アリスは見返りとして、意中の相手との関係を深める不思議なアイテム「猫ハンド」や、一時的に身体能力を向上させる「悪魔の秘薬」を貸し与えることを約束します。半信半疑ながらもそれらのアイテムを使ってみた主人公は、和泉との関係がそれまでとは異なり、急速に親密になっていくのを目の当たりにします。アイテムの効果を実感した主人公は、アリスへの協力を決意。「猫ハンド」の力を借りながら、和泉への募る想いを成就させるために行動を開始します。

システム

ゲームの進行は、あたかもテレビアニメシリーズのようにいくつかの話に分かれています。各話にはサブタイトルが表示され、次の話への予告も挿入されるなど、アニメを意識した構成が特徴です。各話の区切りでは、直前の話で獲得したポイントを、主要ヒロインであるアリス、和泉、草野小雪のいずれかに割り振ることで、そのキャラクターの好感度を上昇させることができます。ただし、吉永あやめや古寺美奈子のルートに関しては、このポイント割り振りのシステムとは関係なく、特定のイベントによって途中で分岐する仕組みになっています。また、悪魔のアリスが持つ様々なアイテムや、後述する悪魔の秘薬を効果的に活用していくことが、ゲームを進める上での重要な要素となっています。

悪魔アイテム

アリスが所持する悪魔のアイテムは、いずれも市販されているファンシーグッズや少女向けアニメの玩具のような外見をしています。そのため、主人公によってそれぞれに特徴を捉えた通称が付けられています。

インスペクター（通称：犬メダル）
物語の鍵となる「光る石」の探索に用いられるアイテムです。安価な作りのようで、しばしば不調を起こします。
マジック・ワンド（通称：猫ハンド）
主要ヒロイン3人のうち、プレイヤーが選択したキャラクターの好感度を上昇させるステッキです。また、好感度を上げるためのポイントを集める機能も持っています。

悪魔の秘薬

悪魔の秘薬の調合は、本作におけるもう一つのゲームプレイ要素となっています。プレイヤーは各話の冒頭で、アリスが用意した3種類または4種類の原液の中から、3つを選択して調合を依頼します（同じ原液を複数選択することも可能です）。調合の経験（回数）が増えるにつれて、同じ原液の組み合わせでもより強力な秘薬が生成されるようになります。1話につき最大5回まで調合を行うことができ、その中から2個までを物語の本編に持ち込むことができます。秘薬を所持している場合、物語の途中で特定の状況が発生した際に、通常とは異なる選択肢が出現することがあります。ただし、秘薬を使用するための選択肢には時間制限があり、制限時間内に選択しない場合は秘薬を使わずにストーリーが進行するため、ゲームクリアのために必ずしも必須というわけではなく、あくまでゲームプレイを豊かにする追加要素としての側面が強いです。

原液
秘薬の材料となる液体です。ゲーム開始当初は3種類、後に4種類が登場します。
赤い原液: 完成する秘薬に肉体的な効果が付与されます。
青い原液: 完成する秘薬に会話術に関する効果が付与されます。
黄色い原液: 完成する秘薬に頭脳的な効果が付与されます。
紫の原液: 物語の途中から使用可能になります。他の原液の効果を強力にする特性があります。
悪魔の秘薬の効果
ハズレの秘薬を除き、効果の種類に応じて末尾に番号（1〜5）が付与されます。
肉体系: 一時的に身体能力を向上させる効果。
会話系: 一時的にコミュニケーション能力を向上させる効果。
頭脳系: 一時的に思考力や判断力を向上させる効果。
ハズレ: 原液の効果が相殺される組み合わせ（赤+青+黄など）や、紫の原液単体などで生成される秘薬。特に効果はありません。

登場キャラクター

主要なキャラクターには、それぞれ個性的な設定が盛り込まれています。なお、一部を除きキャストは非公開です。

上田（うえだ）: 本作の主人公。デフォルト名は勇一。
白妙和泉（しろたえいずみ）: 主人公の幼馴染であり、学園内でも評判の美少女。成績優秀でバイオリンやピアノの演奏にも長け、音楽部で活躍するアイドル的な存在です。常に笑顔で愛嬌を振りまき、周りからは完璧な優等生として見られています。自身のことを「わたし」ではなく「和泉」と呼び、主人公を「たーくん」と呼ぶ幼い頃からの癖があります。周囲には秘密にしていますが、女性向けの体験談投稿誌「ライムエイジ」を定期購読する愛読者です。優等生として見られることへのストレスを抱えており、主人公との関係が深まるにつれて、隠されていた奔放な性格や性癖が一気に表出します。
アリスメンディー（アリスメンディ）: 主人公の目の前に文字通り空から降ってきた悪魔の少女です。初対面時は大魔王と名乗りましたが、実際は空を飛ぶ能力程度しか持ち合わせない下級悪魔で、行動は主にアイテム頼りです。魔界の師匠から「光る石」を探すよう命じられ人間界に降り立ち、行く当てもなく主人公の家に転がり込みます。好奇心旺盛でわがままな一面や気分屋なところがありますが、どこか抜けている部分が却って魅力的なキャラクターです。
草野小雪（くさのこゆき）: 自らを「お助け小雪ちゃん」と称し、困っている人を見かけると手助けをせずにはいられない少女です。この行動は性格によるものではなく本能的なものとされており、彼女の正体に関わる重要な要素となっています。
吉永あやめ（よしながあやめ）: 主人公の小学生時代のクラスメイトですが、主人公は現在の彼女に気づいていません。同じ学園に通いながら、ファミレスや神社など複数の場所でアルバイトを掛け持ちしています。小学生の頃からずっと主人公に片思いを続けています。
古寺美奈子（ふるでらみなこ）: 山中で倒れていたところを主人公に助けられた少女です。その後、主人公への恩を返すために、同じ学園に転校してきます。現在の家庭環境に良い感情を持っておらず、それを重荷に感じています。
谷野孝明（たにのたかあき）: 主人公の親友で、「やのっち」というあだ名で呼ばれています。かなりの女好きで、街でかわいい女性を見かけるとすぐに声をかけるナンパ癖があります。アイドル山岸さくらの熱心なファンで、追っかけ活動をしています。
山科智子（やましなともこ）: 主人公の母方の従妹にあたる人物です。恋人との関係について悩みを抱えています。
山岸さくら（やまぎしさくら）: アイドルとして活動しています。実は草野小雪とは以前からの知り合いであり、ある秘密を共有しています。

スタッフ

本作の制作には以下のスタッフが携わりました。

企画・原作・ディレクター: 真窪乱
プロデューサー: 国上知弘、堂磨雪草
シナリオ: J・さいろー他
キャラクターデザイン: M・M
原画: mike、らんりー
音楽: ブラザーナオ