ローベルト (オーストリア＝エステ大公)

ローベルト・フォン・エスターライヒ＝エステ（1915年2月8日 - 1996年2月7日）は、オーストリア＝ハンガリー帝国の皇族でした。皇帝カール1世の次男として生まれ、兄は元皇太子オットーです。

生涯

カール大公（後の皇帝カール1世）とその妃ツィタの次男として誕生。1917年に父帝によってエスターライヒ＝エステ大公に叙せられました。第一次世界大戦後、君主制が崩壊すると、スイス、マデイラ島を経てスペインへ移住。ルーヴァン・カトリック大学で経済学と政治学の博士号を取得しました。

ローベルトはロンドンでオーストリア＝ハンガリーの亡命者をまとめようと尽力し、1945年にナチス・ドイツが崩壊するとオーストリアへ帰国して政治活動を試みましたが、共和国政府によって追放されました。その後はブリュッセルで銀行員として働き、後にスイスのバーゼルにある老舗プライベートバンク、グッツウイラー銀行の頭取として生涯を終えました。

逸話

第二次世界大戦中、兄オットーと共にオーストリア解放のために活動しました。英国のハロルド・アレグザンダー将軍の要請で、通訳としてユーゴスラビア抵抗運動の指導者チトーとの会談に参加。チトーは通訳の身元を知らずに出身地を尋ねると、ローベルトは「シェーンブルンです」と答えました。さらに名前を聞かれると自分の名前を名乗りました。かつてオーストリア＝ハンガリー帝国の下士官だったチトーは、それを聞くと直立不動の姿勢で敬礼し、「大公殿下、参上いたしました」と言ったとされています。

子女

1953年に旧イタリア王族で第3代アオスタ公アメデーオの長女マルゲリータ（1930年 - ）と結婚し、3男2女をもうけました。

マリア・ベアトリーツェ（1954年 - ） - 1980年にアルコ＝ツィンネベルク伯爵リプラント（バイエルン国王ルートヴィヒ3世の曾孫）と結婚
ローレンツ（1955年 - ） - エスターライヒ＝エステ大公、ベルギー王子
ゲルハルト（1957年 - ）
マルティン（1959年 - ） - イーゼンブルク侯女カタリナ（イーゼンブルク侯家家長フランツ・アレクサンダーの長女で、プロイセン王家家長ゲオルク・フリードリヒの妃ゾフィーの姉）と結婚
* イザベラ（1963年 - ） - チャルノツキ＝ルケスキ伯爵アンドレアと結婚

ローベルト・フォン・エスターライヒ＝エステは、激動の20世紀を皇族として生き、様々な経験を経てその生涯を閉じました。

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