ロールス・ロイス ジェム

ロールス・ロイス ジェム (Rolls-Royce Gem)

ロールス・ロイス ジェムは、1970年代末にイギリスで誕生したターボシャフトエンジンで、主にウェストランド リンクスヘリコプターの動力源として使用されました。このエンジンは、その独特な設計と性能で知られ、航空業界において重要な役割を果たしています。

開発の背景

ロールス・ロイス ジェムは、元々 de Havilland社によって設計が始められました。その際、BS.360という名称で開発が進められましたが、1966年にブリストル・シドレーが関与し、その後ロールス・ロイスが買収しRS.360という新たな名称が付けられました。この経緯から、エンジン名が「G」で始まったのです。

ジェムエンジンは、3軸式設計を採用しており、一般的なターボシャフトやターボプロップエンジンとは一線を画します。基本的な構成は、4段の軸流式低圧圧縮機と、単段の低圧タービンで構成され、加えて遠心式高圧圧縮機と単段の高圧タービンが組み合わさっています。出力は、3番目の軸に接続された2段式自由タービンから取り出されます。燃焼器は反転流式が採用されており、特異な燃焼特性を持っています。

性能と特性

Gem 42モデルのエンジンは、離陸時において海面高度での静止状態で最大出力が1,000 shp (おおよそ746 kW)に達し、最大定格出力は1,120 shp (約840 kW)となっています。性能面においても、全圧縮比は12:1という高い値を示し、空気流量は毎秒約7 lb (約3.2 kg)に及びます。このようなデータからも、ジェムエンジンは高い性能を誇ることがわかります。

搭載機と歴史的背景

ロールス・ロイス ジェムは、アグスタ A129 マングスタやウェストランド リンクスなどの様々なヘリコプターで運用されてきました。特にリンクスは、ジェムエンジンの性能を活かして数多くのバリエーションが開発され、これまでに数十年にわたり多くの現場で活躍してきました。

近年、ジェムエンジンは、ロールス・ロイスが所有するアリソン社とハネウェル社が共同開発したLHTEC T800に取って代わられつつあり、民間用の派生型としてCTS800がアグスタウェストランドスーパーリンクスに搭載される予定です。

仕様諸元 (Gem 42)

• - 形式: 3軸ターボシャフトエンジン (圧縮機を駆動するのは2軸)
• - 全長: 43.4インチ (約1090 mm)
• - 直径: 23.5インチ (約590 mm)
• - 乾燥重量: 414 lb (約187 kg)

構成要素

• - 圧縮機: 低圧部は4段軸流式、高圧部は単段遠心式
• - タービン: 2段式出力タービン、低圧部は単段、高圧部も単段

エンジンの展示

ジェムエンジンは、ミッドランド航空博物館やヘリコプター航空博物館などで展示されており、歴史的な航空エンジンとしての価値を持っています。

まとめ

ロールス・ロイス ジェムは、航空技術の進化に貢献した偉大なエンジンです。その高性能と独自の設計理念は、今後の航空エンジン開発においても影響を与えることでしょう。

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