ロールス・ロイス トレント XWB

トレントXWBの概要

トレントXWBは、エアバスA350 XWB専用に設計されたターボファンエンジンであり、ロールス・ロイス社によって開発されました。このエンジンは、トレント1000をベースにしていますが、A350の要件に特化した様々な改良が施されています。トレントXWBは、その高効率と高推力が評価されており、最新の商用機に広く採用されています。

設計と開発の経緯

エアバスは、ボーイング787に対抗するために新型機の開発に着手しました。2005年10月、A350の設計が正式に始まった際、ロールス・ロイスは元々トレント1000を基にしたトレント1700を提案しましたが、最終的にトレントXWBとしての名称に合意しました。このエンジンの設計において、初期の静止推力の範囲は75,000から95,000 lbf（約330から420 kN）でしたが、エアバスはその後の改訂でこの数値を再調整しました。

商業契約と販売状況

2007年、ロールス・ロイスはカタール航空との間で56億ドルに及ぶ契約を締結し、エアバスA350に搭載されるトレントXWBエンジン80機の供給が決まりました。また、ドバイ航空ショーでは、エミレーツ航空からトレントXWBエンジンを搭載したA350-900及び-1000の発注も発表され、発注総額は最大84億ドルに達する可能性がありました。しかし、その後エミレーツはA350の発注を70機キャンセルしました。それでも、2014年7月時点でトレントXWBは1,400基以上の販売数を誇っています。

試験と認証

2010年6月、初の地上試験が行われ、2012年2月にはA380試験機に搭載されたトレントXWBが初飛行に成功しました。翌年、エンジン型式認証も取得し、初の運行開始は2014年を見込んでいました。カタール航空向けの量産初品も2014年5月に出荷され、A350XWBは2013年6月に初飛行を遂げています。

派生型と仕様

トレントXWBは複数の型式があり、特にA350-1000用に設計された推力97,000 lbfのトレントXWB-97は高い注目を集めています。これにより、A350のパフォーマンスが一段と強化されています。

最近のトラブルと対応

しかし、2024年にはTrent XWB-97に対して欧州航空安全庁から耐空性改善命令が発出される事態が発生しました。この背景には、香港キャセイパシフィック航空での不具合があり、同社は全機自主点検を行いました。さらなる調査の結果、トレントXWB-84エンジンを搭載したマレーシア航空機でも類似の問題が確認され、他のオペレーターでも自主点検が進められています。

結論

トレントXWBは最新かつ高性能なエンジンである一方、運用に関する課題も抱えています。その推力と効率性から、今後も商業航空機の中で重要な役割を果たすことが期待されます。

もう一度検索