ロールス・ロイス・シルヴァードーン

シルヴァードーン（Silver Dawn）

シルヴァードーンは、かつてイギリスの名門自動車メーカー、ロールス・ロイスが手がけた高級車です。この車両は、1949年から1955年までの初代と、1997年から1998年までの二代目に分かれています。特に高級車市場における存在感やデザインは、他の自動車とは一線を画すものでした。

初代シルヴァードーン（1949年 - 1955年）

初代シルヴァードーンは、1949年にトロントで開催された世界博覧会で発表され、その発売はアメリカ市場を見据えたものでした。当時、イギリスは戦後の経済復興が急務であり、自動車産業は重要な輸出商品となっていました。また、アメリカでのヨーロッパ車ブームにより、このモデルは特に米国市場向けに設計いかされました。このため、すべての車両は左ハンドル仕様で提供されていました。

シルヴァードーンは、より高級なシルヴァーレイスの下位モデルとして位置づけられ、共通のプラットフォームを使用しています。しかし、スタンダードスチールボディーを持つこの車は、いくつかの違いがありました。具体的には、キャブレターの仕様やラジエーターグリルに関する異なるデザインが特徴です。エンジンは初期モデルで直列6気筒、4,257ccを搭載し、後に排気量が増大して4,566ccになりました。また、1952年にはオートマチックトランスミッションも選択肢として加えられましたが、より大きな排気量のエンジンは搭載されることはありませんでした。この初代モデルの生産台数は760台という限られたもので、1955年には全モデルがシルヴァークラウドに置き換えられる形で製造が終了しました。

二代目シルヴァードーン（1997年 - 1998年）

二代目シルヴァードーンは、1997年から1998年にかけて製造され、その名はショートホイールベース版のシルヴァースピリットに与えられました。このモデルは、低圧ターボを装備したシルヴァースパーとは異なる仕様となっており、さらにはリムジン版のパークウォードも展開されていました。

この二代目モデルは、空力特性を重視して設計され、ボディは流線型に仕上げられ、内装も快適さを重視したものに改良されていました。しかし、当時のロールス・ロイス社は経営困難に直面しており、このモデルの市場での寿命は短くなってしまいました。後継車にはシルヴァーセラフが登場しています。二代目シルヴァードーンの性能は、最高速度214km/hを誇り、0-60マイル/h加速は9.5秒と発表されていました。

まとめ

シルヴァードーンは、その名の通り、ロールス・ロイスが誇る高級車の一翼を担い、数々の人々に愛されてきました。戦後のイギリスにおける自動車文化の発展を象徴するような存在であり、今なお愛好家に語り継がれています。

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