ロー中間子

ロー中間子

ロー中間子は、短寿命のハドロンであり、強い相互作用を示す粒子です。アイソスピンの三重項を構成し、ρ+、ρ0、ρ-の3つの状態があります。これらの状態はほぼ同じ質量を持ち、その値は約770 MeVです。

特徴

アイソスピン三重項: ρ+、ρ0、ρ-の3つの状態が存在します。
質量: 3つの状態とも質量は約770 MeVです。ただし、ρ+とρ0の間にはごくわずかな質量の差が存在する可能性がありますが、現在の技術では正確な測定が難しく、0.7 MeV以下と考えられています。
崩壊: 非常に短時間で崩壊します。崩壊幅は約145 MeVと広く、その崩壊幅はBreit-Wigner分布に従わないという特徴があります。

崩壊モード

ロー中間子の主要な崩壊モードは、2つのパイ中間子への崩壊であり、その分岐率は99.9%です。


ρ → π + π


中性のロー中間子(ρ0)は、非常に低い確率(分岐率約5×10-5)で電子とミュー粒子にも崩壊することがあります。


ρ0 → e+ + e-
ρ0 → μ+ + μ-


このレプトンへの崩壊は、光子とロー中間子の混合として解釈されます。電荷を持ったロー中間子(ρ+)は主にウィークボソンと混合し、電子またはミュー粒子とニュートリノに崩壊する可能性がありますが、この現象はまだ観測されていません。

構造

De Rujula-Georgi-Glashowによるハドロンの記述では、ロー中間子はクォークと反クォークの束縛状態であり、励起したパイ中間子として解釈されます。パイ中間子とは異なり、ロー中間子はj = 1のスピンを持ち、質量もかなり大きいです。このパイ中間子とロー中間子の質量の差は、クォークと反クォークの間の大きな超微細構造相互作用に由来するものと考えられています。ただし、この記述に対しては、パイ中間子の質量の小ささをカイラル対称性の破れではなく、偶然のせいにするという批判があります。

脚注

[a] PDG (Particle Data Group) は共鳴幅 (Γ) を報告しています。ここでは代わりに τ = ħ⁄Γ という換算が与えられています。

[b] 正確な値は使用する方法によって異なります。詳細については、参考文献を参照してください。

参考文献

LIGHT UNFLAVORED MESONS - パーティクル・データ・グループによる粒子データ

関連項目

* 中間子

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