ワックス・ワーク

『ワックス・ワーク』(1988年)は、アンソニー・ヒコックス監督によるアメリカ合衆国のホラーコメディ映画で、彼の長編監督デビュー作にあたります。

物語は、好奇心旺盛な高校生マークとその友人たちが、近所に突如として現れた奇妙な蝋人形館を訪れることから始まります。館内には、狼男、ミイラ男、吸血鬼といった様々な怪物が、精巧に作られた蝋人形として展示されています。しかし、この蝋人形館は見た目とは裏腹に、恐るべき秘密を隠していました。

実は、この蝋人形館は、それぞれの蝋人形が異なる異次元への入り口になっていたのです。狼男の蝋人形に触れると狼男の世界へ、吸血鬼の蝋人形に触れると吸血鬼の世界へと、観客は危険な冒険へと誘われます。そして、これらの異次元世界で命を落とすと、蝋人形の一部として永遠に館に閉じ込められるという恐ろしい運命が待ち受けていました。

マークと彼の友人たちは、館の恐ろしい真実に気づかぬまま、次々と異次元へと引き込まれていきます。仲間たちは、それぞれの世界で危険な怪物たちに襲われ、命を落としていきます。彼らの姿は、やがて館の蝋人形コレクションに加わっていくのです。

マークと、彼と共に館に訪れたサラだけは、辛くも館からの脱出に成功します。しかし、彼らの恐怖はそこで終わりませんでした。マークは、館の主人であるリンカーンという男に、どこか見覚えがあることに気づきます。

自宅で必死に調べた結果、マークは古い新聞記事の中でリンカーンの顔を見つけます。なんとリンカーンは、40年前、マークの祖父を殺害した張本人だったのです。さらに、彼は悪魔と契約を結び、18人もの犠牲者をゾンビや怪物に変え、世界征服を企む恐ろしい存在だったことが明らかになります。

マークは、サラ、そして祖父の友人であったサー・ウィルフレッドと共に、リンカーンに立ち向かう決意をします。彼らを待ち受けるのは、リンカーンの恐るべき魔力と、彼の操る怪物たちとの壮絶な戦いです。果たして、マークたちはリンカーンを倒し、この恐怖の館から世界を救うことができるのでしょうか。

映画には、ザック・ギャリガン演じるマーク、デボラ・フォアマン演じるサラ、そしてデビッド・ワーナー演じるリンカーンなど、個性豊かなキャラクターが登場します。コミカルな要素も散りばめられた演出と、スリリングな展開が絶妙に絡み合い、観客を最後まで魅了する作品となっています。

『ワックス・ワーク』は、単なるホラー映画にとどまらず、家族の復讐、悪魔との契約、そして人間の業といった深遠なテーマを扱っており、観客に様々な感情を呼び起こす作品と言えるでしょう。蝋人形館という独特な舞台設定と、予想外の展開が、この映画を忘れられない一作にしています。

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