ワツミワムシ属

ワツミワムシ属（Limnias）

ワツミワムシ属、学名Limniasは、特異な特性を持つ固着性のワムシ類です。特に、各個体が入っている棲管に環状の線が見られる点が特徴的です。以下に、主にこの属に含まれる種、ワツミワムシ (Limnias melicerta)について詳述します。

特徴

ワツミワムシの成体雌は水草やその他の水中植物の表面に固着し、毎年環境に適応しながら生活します。これらの個体はそれぞれ単独で固着しており、他の個体と群体を形成することはありません。彼らの住む管は真っ直ぐな円柱状であり、先端に向けてやや太くなる構造を持っています。

管の素材は硬化された膠質や角質に似ており、透明で硬質です。さらに、その表面には環状の細かい肋状の条紋が見られることで、少し突起のある外見とされています。この管の長さは約0.8mmから1mm程度で、目立つ特徴のひとつです。

個体の先端には大きく広がった頭冠が存在し、これを使用して水流を作り出します。頭冠は左右に分かれた二つの裂片を持ち、その後部には7個の明瞭な角状突起が並んでいます。これらの突起は横並びの列を成しており、縦に並ぶ3列を形成します。中央には3個、前後にそれぞれ2個ずつ配置されています。また、頭冠の腹面には繊毛対が集まって漏斗状の口を形成しています。

さらに、頭冠の直下の腹面には腹触手があり、これは非常に目立ちます。腹触手は明瞭に突き出ており、その先には束になった感覚毛があり、感覚機能を担っています。

生息環境

ワツミワムシは主に沈水植物が多い池沼や湖の沿岸に生息していますが、その数はそれほど多くありません。池沼や河跡湖でも一般的に見られることがありますが、環境によってその分布は異なるようです。

近縁の種

同じくマルサヤワムシ科に属するマルサヤワムシ属（Floscularia）も、円筒形の管室に固着して生活している点では似ています。しかし、マルサヤワムシ属は管室の壁が小球を積み重ねた構造になっており、頭冠は4つの裂片に分かれているという違いがあります。

参考文献

• - 水野寿彦、高橋永治編著『日本淡水動物プランクトン検索図鑑』、(1991) 東海大学出版会
• - 水野壽彦『日本淡水プランクトン図鑑』、(1964) 保育社

このように、ワツミワムシは独自の生態と構造を持つ興味深い生物であり、淡水環境における重要な一員として生態系の役割を果たしています。

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