ワルキューレ (映画)

ワルキューレ

『ワルキューレ』（原題: Valkyrie）は、2008年に公開されたアメリカとドイツの合作映画です。本作は、1944年に発生したヒトラー暗殺計画「7月20日事件」に焦点をあて、その主役となったドイツ国防軍の将校、クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐の物語を描いています。タイトルの「ワルキューレ」は、シュタウフェンベルクたちが起こした作戦計画を指します。

ストーリー概要

物語設定は1943年のドイツ。連合軍に対して数々の敗北を喫しているドイツでは、ヒトラーが最後の勝利を信じて戦争を続けようとしていました。反ヒトラーの将校であるヘニング・フォン・トレスコウ将軍は、ヒトラーの暗殺を試みますが、未遂に終わります。失敗した後、トレスコウは新たな指導者を選定する必要に迫られます。同時に、北アフリカ戦線から帰国したシュタウフェンベルクは、重傷を負いながらもベルリンの国内予備軍司令部に転属されます。

シュタウフェンベルクはオルブリヒトからヒトラー暗殺計画への参加を誘われますが、その際の会議で、ヒトラー打倒後のプランが欠如していることに失望し、一度は参加を拒否します。しかし、彼は国を救うためにはヒトラーを排除するしかないと考え、計画に参加する決意をします。

計画が進む中、シュタウフェンベルクは暗殺をためらう仲間たちを説得し、ヒトラー暗殺後に「SSの反乱を鎮圧するため」との名目でワルキューレ作戦を発動する準備を進めます。1944年7月15日、シュタウフェンベルクはヒトラー暗殺を試みますが、会議に欠席していたヒムラーのために作戦を中止する指示が出ます。それにも関わらず、彼はクイルンハイム大佐と共に暗殺を決行することを決意し、暗殺計画を実行に移す準備を進めます。

決行とその後

1944年7月20日、シュタウフェンベルクは再び狼の巣で会議に参加し、暗殺を決行します。爆弾が爆発したことを確認した後、シュタウフェンベルクはベルリンへ急ぎます。しかし、「ヒトラー死亡」の情報がベルリンに届かず、計画に混乱が生じます。シュタウフェンベルクはフロムの反対を押し切り、作戦を発動させることに成功します。

部隊はベルリンを制圧し、進展を見せますが、ゲッベルスからの電話でヒトラーが生存していることが知らされ、部隊は撤退を余儀なくされます。シュタウフェンベルクたちは捕らえられ、ついにはフロムによって処刑命令が下されます。彼は国内予備軍司令部の中庭で銃殺され、シュタウフェンベルクの死から9か月後、ナチス・ドイツは 崩壊します。

キャストと制作

主演はトム・クルーズが演じるクラウス・フォン・シュタウフェンベルク。彼の妻ニーナ役はカリス・ファン・ハウテン、オルブリヒト大佐役にはビル・ナイが配役されています。監督のブライアン・シンガーは、撮影を実際の事件現場で行うことにこだわり、リアリズムを追求しました。特に、当時の建物や車両を可能な限り本物で再現しています。

壇上では、シュタウフェンベルクのイメージを破壊することを懸念する声もありました。特にドイツでは、カトリック教徒の英雄を演じたサイエントロジー信者としてのトム・クルーズに批判が集中しました。しかし、制作チームはこの映画を通じて、ナチス支配から解放された統一ドイツの姿を描くことに同意し、撮影が実現しました。

映画『ワルキューレ』は、歴史的事件を背景にしたドラマであり、国家の運命を賭けた壮大な戦いを通じて、勇気と決断に満ちた人間の物語を語っています。

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