ワルクールの戦い

ワルクールの戦い

1689年8月25日、現在のベルギー・ワロン地域にあるワルクールで、オランダとイングランドの同盟軍とフランス軍との間で激しい戦闘が繰り広げられました。この戦いは、大同盟戦争における重要な出来事であり、両軍の戦略や当時の国家間政策が色濃く反映されています。

背景

この戦闘は、アウクスブルク同盟の一員としてフランスに対抗するために戦ったイングランド王ウィリアム3世の指導の下で勃発しました。彼は、フランス王ルイ14世がアイルランドに上陸させたジャコバイトたちへの対応に追われていました。一方、フランス軍は神聖ローマ帝国やスペイン領ネーデルラントに侵攻し、地域の帝国諸侯やオランダ軍と衝突する構図が形成されました。

ネーデルラントでは1688年には戦闘が開始されなかったものの、1689年に入り、イングランドからマールバラ伯ジョン・チャーチルが指揮する援軍がオランダ軍に加わります。この時、オランダ軍の司令官であるヴァルデック侯ゲオルク・フリードリヒはフランス軍に対する攻撃に移ります。ただし、イングランド軍の装備の質や士気の低さから、マールバラ伯は徹底した訓練を行うことにし、そのため進軍は6月まで遅れました。

戦闘の開始

8月24日、同盟軍はサンブル川を渡り、ワルクールに到着しました。フランス軍も同じ地域に駐屯しており、戦いの準備が整えられていました。次の日の25日、同盟軍のホッジス大佐が率いる連隊が食糧徴発で田園地帯に出向き、収穫作業を始めたところ、フランス軍のユミエール公による急襲が行われました。

ホッジスは連隊を指揮し、フランス軍の攻撃に対し2時間にもわたって抵抗します。彼は後退しながらも効果的な防御を行い、最終的にマールバラ伯からの指示により陣地へと無事に戻ることに成功しました。この最初の攻撃に失敗したフランス軍は、ワルクールの本格的な攻撃を試みますが、地形による制約から同盟軍に多大な損害を与えることはできませんでした。

戦闘の激化

フランス軍の疲労が蓄積する中、同盟軍はフランス軍に対する反撃を開始しました。マールバラ伯とオランダのスランゲンベルグ卿が連携し、フランス軍を左右から攻撃します。これにより、フランス軍は混乱し、一時的に動揺しますが、騎兵隊長ヴィラールによる撤退の支援を受け、ユミエールは戦場を離れました。この結果フランス軍は撤退を余儀なくされました。

この戦いで同盟軍の被害はおよそ100人から300人、フランス軍は600人から2000人の大きな損失を被りました。戦後、ネーデルラント戦線はほぼ静止した状態が続いたものの、ウィリアム3世はマールバラ伯の功績を評価し、彼をイングランド軍の総司令官に任命しました。フランス側でもユミエールが指揮官の座を退き、リュクサンブール公がその後を引き継ぐことになります。

結論

ワルクールの戦いは、当時の軍事的・政治的状況を象徴する戦闘として語り継がれています。この戦闘がもたらした影響は、両軍の戦略だけでなく、後の歴史にも大きな影響を与えることとなります。

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