ワンサくん

『ワンサくん』の概要

『ワンサくん』は、著名な漫画家手塚治虫が創り出したキャラクターを基にした、子供向けの漫画およびアニメです。この作品は、1971年に始まり、1973年にはテレビアニメが放送されました。手塚治虫の作品らしい独自の設定とストーリーが魅力となっています。

漫画の起源

1971年、西崎義展が手塚治虫にいくつかの犬のイラストを依頼しました。これを三和銀行に提示したところ、「ワンサくん」としてマスコットキャラクターが採用され、さらに「お子さま通帳」のイラストや各種ノベルティグッズに使われました。その後、月刊誌『てづかマガジンれお』に連載されましたが、雑誌の廃刊により、物語は未完のまま終了しました。この時期のストーリーは、テレビアニメとは異なり、ワンサが仲間と共に税務署を襲撃する場面も含まれていました。

当時、手塚治虫の漫画全集には『ワンサくん』を含むいくつかの短編作品が収録され、『ふしぎなメルモ』の秋田文庫に再編されたこともありました。しかし、虫プロダクションの倒産後、この作品の権利はオフィス・アカデミーに引き継がれ、その後、キャラクター使用契約の更新がうまくいかず、1974年にはなくなりました。

テレビアニメの制作

アニメ版『ワンサくん』は、1973年4月2日から9月24日まで、フジテレビ系列で全26話が放送されました。このシリーズは、旧虫プロダクションが制作した最後の作品であり、企画には西崎義展が参加していた瑞鷹エンタープライズも関わっています。

脚本を手掛けた藤川桂介によれば、西崎義展はこのアニメを「日本のディズニー作品」とすることを目指し、ディズニーの音楽的なスタイルに近い形で仕上げました。音楽は宮川泰が担当し、ポップスとクラシックの要素が取り入れられています。また、人間の演技をトレースするロトスコープ技術を使用することで、犬たちを擬人化しました。この手法は手間がかかるもので、番組の終了も、この技術の影響を受けていると言われています。

ストーリーは、最初の21話までは明るくコミカルな内容でしたが、次第に母親を探し回るシリアスな方向に転換し、最終回では病気の母親を看病して残念ながら亡くなるという切ない展開が繰り広げられました。視聴者へのメッセージ性も感じられるエンディングです。

また、番組では視聴者の犬の絵を紹介するコーナーも設けられており、子供たちの参加を促していました。

ソフト化と再放送

1990年には、ジャパン・オーディオ・ビジュアル・ネットワークより傑作選のVHSが発売され、第23話までの様々なシーンが再編集されました。その後、2002年には全話数を収録したDVD-BOXが販売されるなど、今も作品の評価は高いです。

再放送については、1999年から徐々に行われ、2016年には特別キャストによるキッズミュージカルが上演されるなど、多岐にわたる展開を見せています。

主要なキャラクターと声優

声優陣も豪華であり、『海のトリトン』や『宇宙戦艦ヤマト』シリーズと同様に、当時の青二プロダクションのメンバーが多く起用されています。主要なキャラクターにはワンサやその仲間たちが含まれ、視覚的にも音声的にも多様な表現がなされています。

手塚治虫の作品として影響力を持つ『ワンサくん』は、アニメと漫画が共存する中で、子供たちに愛され続けています。この作品の歴史は、漫画の可能性やアニメーションの技術革新の一端を物語っているのです。

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