ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』（原題：Once Upon a Time in America）は、1984年に発表されたアメリカ・イタリア合作によるギャング映画です。セルジオ・レオーネが監督・脚本を務め、彼の偉大な遺作として広く認識されています。

この作品は、1920年代の禁酒法時代を背景に、ニューヨークのユダヤ人街で育った二人のギャング、ヌードルスとマックスの生涯を描いています。レオーネは、ハリー・グレイの自伝的小説からインスピレーションを受け、脚本作りを始めました。しかし、制作の過程では映画会社の意向や映画化権の取得に苦労し、結果としてこの作品の完成には実に10年の歳月がかかりました。

1984年度のカンヌ国際映画祭で上映された際には、15分にも及ぶスタンディングオベーションを受けるなど高い評価を受けましたが、アメリカでの劇場公開時には製作会社による過剰な編集が影響し、批評家から酷評される結果になりました。具体的には、映画の上映時間を90分に短縮し、重要な音楽シーンもカットされてしまったのです。しかし、後に公開された完全版は、これまでの評価を一変させ、ギャング映画の傑作として再評価されました。

映画全体の魅力の一つが、エンニオ・モリコーネが作曲した音楽です。モリコーネの楽曲は、作品の深みや感情の表現に一役買い、彼はまた英国アカデミー賞の作曲賞を受賞することになります。

本作のストーリーは、ヌードルスが仲間と共に軽い悪事を働く場面から始まりますが、次第に彼は復讐に心を奪われ、暴力の渦に巻き込まれていきます。時を経て、彼は老いた姿でニューヨークに戻り、過去の同窓生からの手紙を受け取ります。その内容に、彼の心が再び揺れ動くのです。その手紙はどのように彼を呼び戻したのか、謎が続きます。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は、映画史において特別な地位を確立し、多くの著名な監督や映画ファンがその作品を賞賛するきっかけとなりました。監督レオーネの過労による突然の死が近づく中、彼は次回作に取り掛かることができず、未完のままとなった影響も感じられます。

また、2012年と2014年にはこの作品のレストア版やエクステンデッド版も公開され、さらに会話や細部にこだわった新たなシーンが追加されました。

この映画は、ストーリーの核となる人間ドラマや社会と人との関わりを深く描く一方で、視覚的な美しさや音楽の重要性をも教えてくれます。映画が想像力をかき立て、観る者の心に長く留まる理由もここにあるでしょう。

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