ワンタッチパス

ワンタッチパスの概要

ワンタッチパスは、日本のプロサッカーリーグであるJリーグにおいて、2009年シーズンから導入された非接触型ICカードによる観戦記録システムです。このシステムは「ジェイリーグ全試合対象観戦記録システム」とも呼ばれ、観戦記録を集め、ファン体験を豊かにすることを目的としています。

このプロジェクトは、2008年に「Jリーグ イレブンミリオン プロジェクト」の一部として進められました。各クラブは、専用のICカードをファンクラブの会員証として発行し、それを用いて観戦記録をデータベース化し、クラブのサービス向上に貢献します。このようなICカードシステムの導入は、世界的にも類を見ない試みとして注目されています。

「ワンタッチパス」という名称は、サッカーにおけるダイレクトなボールパスに由来しています。観客がスタジアムにスムーズに入場できることを目指し、手軽で迅速なプロセスを提供することを意図しています。

使い方とシステム

観客は、クラブが発行したICカードまたはQRコード入りカードを持参し、試合会場に設置された端末にかざすことで、その試合観戦が記録されます。多くのクラブでは、シーズンシート保持者向けに、会員カードをかざすだけで入場が可能な「チケットレス入場」を導入しています。また、ファンクラブ会員には来場ポイントが付与され、特典との交換ができる仕組みも存在します。

試合会場では、当初はパナソニック製のノートパソコンと専用リーダーを組み合わせた端末が使用されていましたが、2019年度からはハンドヘルド型の端末に切り替わっているため、より効率的な運用が実現されています。

このICカードシステムには、ソニーの非接触式ICカード技術「FeliCa」が採用されています。これにより、各クラブは電子マネーや交通系のICカード機能をカードに実装することが可能です。実際、多くのクラブが楽天Edyを採用し、一部のクラブでは独自のICカードを使用しています。たとえば、ジェフユナイテッド千葉ではSuica、名古屋グランパスではmanacaを利用しています。

導入状況

2018年シーズンまでの状況において、Jリーグの全クラブがワンタッチパスを導入していますが、J2リーグの栃木SCはこのシステムを導入していないため、端末のみ設置されている状況です。また、J3においてもいくつかのクラブが未導入となっています。全54クラブ中、44クラブがワンタッチパスを利用しているため、まだ拡張の余地があります。

さらに、Jリーグでは、スタジアム検査要項において、入場ゲートに「ワンタッチパスが設置できるスペースがあること」を条件としているため、各クラブもその準備が必要です。

マイページ機能

「マイページ」とは、ウェブサイト上で会員情報を確認できるページで、ワンタッチパスで記録した試合履歴やポイントをチェックできます。会員情報は、各クラブのホームページからログイン認証を通じて確認でき、会員番号とパスワードを用いてアクセスします。ただし、各クラブの認証ページからのみログインが可能です。現在、大宮アルディージャや名古屋グランパスなどいくつかのクラブは専用のマイページを持っていませんが、連携や利便性の向上が期待されます。

このように、ワンタッチパスは来場者の利便性を向上させると同時に、各クラブのサービス開発にも寄与するシステムとして、サッカー観戦体験を更に豊かなものにしています。

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